【アルファードが小さく見える】1000万円近い価格は安すぎ?フォルクスワーゲンID.バズがワーゲンバスと異なること

公開 : 2025.08.13 11:45

終始BEVらしいドライブ感覚

実際に動かしてみると、インターフェイスは基本的に他のフォルクスワーゲンと同じなので、サイズ以外は戸惑うことがない。起動ボタンがなく、鍵が室内にある状態でシートに座ってブレーキを踏むとシステムが起動する……という流れは、実に今どきのEVである。

最初に驚いたのは、ナビゲーションが装備されないこと。この価格のクルマで? と一瞬思ってしまったが、iPhoneを繋ぎアップル・カープレイを起動。その日の目的地を目指すこととした。

インターフェイスは基本的に他のフォルクスワーゲンと同じだが、ナビが装備されていない。
インターフェイスは基本的に他のフォルクスワーゲンと同じだが、ナビが装備されていない。    平井大介

ドライブしている印象は、『終始BEVらしい』と書くのが自分の感覚に近い。バッテリーが床下にあるので重心が低く、ホイールベースが長いこともあり、高速道路での安定性はかなり高いものだ。

しかもこのボディサイズなので重い動きを想像していたが、パワフルにしっかりと走ってくれる。ドライブモードはエコ、コンフォート、スポーツ、カスタムとあるが、スポーツは必要ないと思うほど、コンフォートでも十分な走りだった。

今回は300kmほどを走行し、そこで感じたのはBEVかどうかは関係なく『とにかくこのクルマ楽しそう!』という雰囲気。デザインや色の使い方が秀逸すぎて、自然とどこかへ遊びに行きたくなるのだ。

デザインは似ていても、精神的にはかなり異なる

そこで気になったのは価格。フォルクスワーゲン・タイプ1(=ビートル)をベースとしたファミリー向けのタイプ2とは明らかに立ち位置が異なり、今回も移動の先々で注目を浴びるも、1000万円近い価格を伝えると意気消沈する方々が多かった。

もちろん額面だけ見ても、そしてフォルクスワーゲンのブランド的にもこの価格はかなり高いものだ。しかし、個人的には逆に安すぎると思っている。こういった『遊び車』を所有できる層は、これをファーストカーとしてではなく何台か所有するうちの1台として選ぶ可能性が高い。であれば、もっとラグジュアリー(=高価)でもいいのではないだろうか。

フォルクスワーゲン・タイプ1(=ビートル)をベースとしたタイプ2とは立ち位置が異なる。
フォルクスワーゲン・タイプ1(=ビートル)をベースとしたタイプ2とは立ち位置が異なる。    平井大介

だからこれを『ワーゲンバスの再来』と呼ぶことに、個人的には違和感を覚えている。ゴルフやパサートをベースに作るならばまだしも、デザインは似ていても精神的にはかなり異なるからだ。

また、長距離を乗ること考えると航続距離約500kmは若干心もとないが、そういった実用性を求めるならVクラスや国産ミニバンという選択肢がある。

そこはフォルクスワーゲンもわかっていて、日本には導入されていないが、本国には『トランスポーター』という、『フォード・トランジット・カスタム』とプラットフォームを共有する7世代目(T7)の定番ミニバンがあり、ID.バズとははっきりと棲み分けされている。

つまり『フォルクスワーゲンID.バズ』という唯一無二の選択肢は、充電環境を含めたライフスタイルに合致する人生に余裕のあるオーナーが、最高の遊び車としてガレージに迎え入れる1台と言えそう。個人的には、返却直前にラジオから心地よいサマーミュージックが流れてきた時、「海へ引き返したい……」と思えたのが何より、このクルマのキャラクターを表しているように感じた。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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