低価格EV展開 フォード、400万円台からピックアップトラック発売へ 「モデルT以来の革新」

公開 : 2025.08.13 06:45

フォードは2027年から低価格のEVシリーズを発売する予定です。新開発の『ユニバーサルEVプラットフォーム』と米国工場における革新的な生産技術の導入により、コスト削減と持続可能性の実現を目指すとしています。

新開発のプラットフォームを導入

フォードは、2027年から手頃な価格の新しいEVシリーズを順次展開していく計画だ。新開発のプラットフォームと「革新的な」生産工程を採用するという。

その第1弾となるミドルサイズのダブルキャブピックアップトラックは、同社にとってモデルT以来の革命とされる『ユニバーサルEVプラットフォーム』をベースに、3万ドル(約440万円)の目標価格を掲げている。

共通プラットフォームをベースにさまざまなEVを展開する。
共通プラットフォームをベースにさまざまなEVを展開する。    フォード

フォードのジム・ファリーCEOは、ハッチバック、クロスオーバー、バン、3列シートSUVなど、さらに多くのモデルが追随すると述べた。いずれも同様の価格帯で発売される見込みだ。

現在、フォードが販売しているEVの中で最も安価なのはコンパクトクロスオーバーのプーマGen-Eで、英国価格は2万9995ポンド(約600万円)からとなっている。

さまざまなボディサイズに対応した新しいプラットフォームにより、フィエスタやフォーカスのようなコンパクトハッチバックが再登場する可能性もある。

マスタングより速いピックアップトラック

新型EVは米国ルイビル工場で生産される。ファーリー氏が「ケンタッキー州から世界へ」と宣言したことから、グローバル市場で販売される見通しだ。

フォードが米国で自動車を生産し、世界中に輸出することは、米国、特にドナルド・トランプ大統領にとっての勝利と言えるだろう。EU(欧州連合)との間で貿易協定が締結されたことで、欧州に輸出される米国製自動車に対する輸入関税は引き下げられている。

車載OSなどソフトウェア面でも大きく進化するようだ。
車載OSなどソフトウェア面でも大きく進化するようだ。    フォード

とはいえ、フォードの新型EVの第1弾は国内市場を念頭に置いて開発されている。アマゾンが支援するスレート・トラックと競合する位置付けとなり、EVに懐疑的な国内での販売拡大に貢献するだろう。

フォードは現在、SUVのマスタング・マッハE、ピックアップトラックのF-150ライトニング、バンのEトランジットを国内で販売している。

米国のメディアによると、この新型トラックは『ランチェロ(Ranchero)』という名称になるようだ。同名のモデルは過去に存在するが、カプリやエクスプローラーのように、フォードはよく知られた名称を新型EVにつける方針をとっている。

新プラットフォームの詳細は未公開だが、ファーリー氏はミシガン州の新工場『ブルーオーバル・バッテリー・パーク』で生産される角柱型リン酸鉄リチウム(LFP)バッテリーセルを採用すると述べた。

これにより「驚異的な」航続距離を実現し、6日間分の家庭用電力に相当するエネルギーを蓄えられるという。

さらに、第1弾のピックアップトラックは「マスタングのツインターボよりも速く」、超急速充電が可能で、無線アップデートに対応した車載OSを導入する。

新プラットフォームは車内空間を重視して設計されており、「トヨタRAV4よりも車内が広い」とのことだ。また、フロントトランク(通称:フランク)も備わる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    役職:ニュース編集者
    ニュース編集者としての主な業務は、AUTOCARのニュースの方向性を決定すること、業界トップへのインタビュー、新車発表会の取材、独占情報の発掘など。人と話したり質問したりするのが大好きで、それが大きなニュースにつながることも多い。これまで運転した中で最高のクルマは、アルピーヌA110。軽快な動きと4気筒とは思えないサウンドが素晴らしい。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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