【走行距離1400km超え】英国旧車70台で日本縦断マラソン!ブリクラ参戦記

公開 : 2025.08.30 11:45

紆余曲折が生む次回へのモチベーション

法定速度を守って走るといっても旧いクルマたちにとっては容易ではない。タイトコーナーが連続する山道も多いし、標高が変わるとキャブレター車はパワーの出方も変わる。

途中で止まって給油したり、トラブルを克服したりする必要もある。そんな時は後からやってくる仲間を巻き込んで! というのもBCMのようなラリーでは当たり前のこと。そんなドラマを楽しむものでもあるのだ。

駆け抜ける名車と移り変わる景色を楽しめるのも長距離ラリーの大きなメリット。
駆け抜ける名車と移り変わる景色を楽しめるのも長距離ラリーの大きなメリット。    小河昭太

そんな参加者たちがロングドライブと同じくらい楽しみにしているのが、1日目のゴール地点であり宿泊先でもある加賀のホテルで開催されるウェルカムパーティだ。通常、お酒とクルマは決して相性が良いわけではないが、一泊すれば門戸が開かれる。

もともと旧い英国車を愛する者同士なので仲良くなれる素質は充分。しかもまだ半分ではあるが長距離のラリーを走り抜いた者同士となれば、自然と話も弾む。似たような年式、同じメイクスといったネタがあれば、話が盛り上がりやすいことは言うまでもない。

今年のBCMは珍しいことに(!)、一度も雨に降られず、再発進できなくなったクルマもなかった。そして再び、ゴール地点でも仲間同士で大いに盛り上がり、再会を誓って帰路に就くというのがルーティンである。

順位は冴えず、道間違いも何度かあったが、我々もちゃんと完走することができた。そしてゴールしたあと、自宅までの長い長い最終ステージも、ナビとクルマの話をしていれば思いのほか短く感じられるのである。

愛車を真剣に走らせるという楽しみだけではなく、イベント自体やそこに集う人の魅力も大きい。筆者と同じように、BCMが旧いクルマを維持するためのモチベーションになっている人も少なくないのだと思う。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 編集

    小河昭太

    Shota Ogo

    2002年横浜生まれ。都内の文系大学に通う現役大学生。幼いころから筋金入りのクルマ好きで、初の愛車は自らレストアしたアウトビアンキA112アバルトとアルファロメオ2000GTV。廃部になった自動車部を復活させようと絶賛奮闘中。自動車ライターを志していたところAUTOCAR編集部との出会いがあり、現在に至る。instagram:@h_r_boy_

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