英国名門ブランド MG再起の裏側(後編) トレンドを掴むデザイン、待望のスポーツカーも
公開 : 2025.11.11 11:45
英国の自動車ブランドであるMGは長い低迷期間を経て、近年急成長を遂げています。コロナ禍などで市場があえぐ中、国内販売620%増という驚異的な飛躍を見せたのです。その成功の裏側には何があるのか。本社を訪ねました。
4つの製品分野で勝負をかける
戦略の第一人者アリソン氏の指揮のもと、MGは4つのセグメントに特化した。Bセグメントのスーパーミニ、BセグメントのSUV、Cセグメントのハッチバック、CセグメントのSUVだ。これらは英国販売の約80%を占める主要セグメントだ。
昨年の販売台数は約8万4000台で伸びが鈍化した(長年展開するヒョンデにほぼ並ぶ水準)。これは競合他社の増加に加え、ヴォグゾールなどの「老舗」ブランドが低価格での販売手法を習得したためだ。

今後の展望はどうか。ピグナキス氏は再び攻勢に出る時期だと見ているが、爆発的拡大を狙うつもりはない。
現在の事業規模は、販売量と収益性のバランスにおいてほぼ理想的だ。既存顧客への対応やディーラーの満足度維持にも十分対応できる規模である。「それに、このペースで拡大を続けていたら、すぐに英国でクルマを売っているのは当社だけになるでしょう」と彼は冗談めかして言う。
年末までには機能性と質感を高めた改良型MG4が登場する。一回り大きいSUVも追加され、2026年にはさらに新型車が登場予定だが、英国市場は同社のグローバルモデルラインナップのごく一部に過ぎない。そのため、英国の経営陣は次なる展開を決める時間的余裕があると見ている。
デザインスタジオがもたらす影響
MGの英国デザインスタジオは、筆者が訪れた中で唯一、オフィスビルの最上階に位置するスタジオだ。本社の最上階のワンフロアを占め、ロンドンの喧騒と景色を望むが、外界から隔絶された静謐でクリエイティブな雰囲気が漂っている。
自動車メーカーは昔から、デザイナーを現代の潮流の影響を受けられる場所に置きたがる。このスタジオはそれを究極的に体現していると言えるだろう。

スタジオと30人ほどのスタッフは2019年にロンドンへ移転してきた。それ以前はバーミンガムにあり、環境は今ほど良くなかった。デザイン責任者のカール・ゴッサム氏は当時をよく覚えている。彼は2005年、南京汽車が上海汽車と合併して現体制が生まれる直前にMGに入社した。この体制はMGの成功の礎となった。
ゴッサム氏が加わった当時、主な仕事は初代『MG3』の開発だった。同車は長く活躍し、2011年の発売後、2度のフェイスリフト(2013年と2018年)を経て、2024年に新型モデルにバトンタッチして生産を終えた。MGのデザインは、2019年にロンドンへ移転してからさらに飛躍した。ゴッサム氏が先進デザイン責任者として指揮を執り、主役級のMG4 EVやサイバースター、そしてそれを支えるさまざまなモデルを生み出したのだ。
ゴッサム氏は英国市場で展開されるモデル以外にも、未導入のモデルやSAIC傘下ブランドの車両開発にも深く関与している。
MGの知名度を最も高めたのは英国スタイルのMG4だ。実用性と手頃な価格を兼ね備えた電動ファミリーカーの象徴として広く評価されている。「開発は2019年に始まりました」とゴッサム氏は振り返る。「EV専用プラットフォームがあったのは大きな強みでした。主に欧州市場向けのクルマを作るという目標は、結果的に大成功でした。英国だけで3年足らずで4万5千台を売り上げたのです」





































