ディーゼルは驚異の洗練度 マツダ・アテンザ/6を中古で(2) パサートを超えた楽しさ

公開 : 2025.09.23 19:10

経済性と実用性を両立 充足度の高い走り コンセプトカーをイメージさせるボディ CX-5との共通点が多いインテリア ディーゼルは驚くほどの洗練度 UK編集部が中古車で魅力を再確認

ディーゼルは驚くほどの洗練度 余裕の動力性能

ガソリンエンジンでもディーゼルエンジンでも、マツダアテンザ/6のアイドリングは静か。特にディーゼルは唸らされるほど洗練され、発進加速ももたつくことはない。アクセルペダルに対するリニアな反応も、特筆すべき長所だろう。

5500rpm以上まで滑らかに回転し、動力性能には余裕がある。気張るとディーゼルらしいノイズが響くものの、ロング傾向のギア比でも粘り強く走り、許容範囲といえる。

マツダ6(アテンザ/2012〜2024年/英国仕様)
マツダ6(アテンザ/2012〜2024年/英国仕様)

ガソリンエンジンは、ディーゼルほどの驚きはないとしても、回転中だと気付かないほど静かで滑らか。英国仕様の145psはやや非力。スタイリングに見合う動力性能をお考えなら、165psの方を検討したい。ただし、高域では若干ノイズが目立つ。

パサートを超える楽しさ 鋭いコーナリング

トランスミッションは、6速マニュアルと6速オートマティックが選択できた。前者は、望めば素早いシフトチェンジが可能で、後者のマナーも好ましい。ペダル類の重み付けは適正で、扱いやすいと感じる人は多いはず。

安定性は素晴らしく、走りの充足感はライバル以上。グレートブリテン島の郊外を飛ばせば、同時期のフォード・モンデオやフォルクスワーゲン・パサートを超える楽しさを享受できる。

マツダ6(アテンザ/2012〜2024年/英国仕様)
マツダ6(アテンザ/2012〜2024年/英国仕様)

軽いドアが身軽な走りを期待させるが、実際そのとおり。コーナリングは、同クラスとしては異例なほどシャープ。電動アシストのステアリングは丁度良い重み付けで、精度も高く、充分な感触が手のひらへ伝わる。ライバルにはない一体感を生んでいる。

路面を問わず優れた乗り心地 燃費も良好

反面、車重が軽くなると洗練度に影響が出がちだが、指摘するほどではないだろう。路面への追従性はパサートへ及ばないものの、路面を問わず乗り心地は優れている。落ち着きはフォード・モンデオに並ぶが、機敏さはそれ以上だ。

19インチ・ホイールを履く試乗車では、荒れた路面で多少の衝撃を残していた。小径ホイールの方が、快適性は増すだろう。

マツダ6(アテンザ/2012〜2024年/英国仕様)
マツダ6(アテンザ/2012〜2024年/英国仕様)

燃費は、175psのディーゼルターボで速度域の高い郊外を流し、平均20.0km/L。サイズとパフォーマンスを考えれば、驚くほど優秀といえる。市街地を含む平均でも、15.6km/Lとライバルを凌駕する。

クラス最高水準の運転体験 洗練の万能選手

クラス最高水準の運転体験を叶えていた、3代目アテンザ/6。実用性や経済性も褒められ、日本のマツダだから信頼性も悪くないはず。唯一、インテリアの質感は、同価格帯のライバルへ一歩及ばなかったけれど。

距離を走るドライバーには、活発なディーゼルターボをオススメしたい。他方、自然吸気のガソリンは、期待値を越えないかもしれない。購入前の試乗をオススメしたい。

マツダ6(アテンザ/2012〜2024年/英国仕様)
マツダ6(アテンザ/2012〜2024年/英国仕様)

とはいえエンジンを問わず、登場から10年を経ても、洗練されたオールラウンダーだと表現できる。ボディタイプは、サルーンの他にステーションワゴンもある。予算や希望に合わせて、お好みの1台を探してみてはいかがだろう。

◯:動力性能と経済性の両立 鋭いアクセルレスポンス 軽快な走り
△:少し簡素なインテリア 操作しにくいインフォテインメント・システム エンジンは高域で若干ノイジー

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    役職:常勤ライター
    AUTOCARに加わる以前は、クルマからボート、さらにはトラックまで、EVのあらゆる側面をカバーする姉妹誌で働いていた。現在はAUTOCARのライターとして、トップ10ランキングや定番コンテンツの更新、試乗記や中古車レビューの執筆を担当している。最新の電動モビリティ、クラシックカー、モータースポーツなど、守備範囲は広い。これまで運転した中で最高のクルマは、1990年式のローバー・ミニ・クーパーRSP。何よりも音が最高。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

マツダ・アテンザ/6を中古での前後関係

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