最近のマツダ話、MX-30ロータリーEV前編【日本版編集長コラム#48】

公開 : 2025.09.21 12:25

AUTOCAR JAPAN編集長ヒライによる、『日本版編集長コラム』です。最近乗ったクルマの話、取材を通じて思ったことなどを、わりとストレートに語ります。第48回は、1ヵ月ほど試乗できた『マツダMX-30ロータリーEV』の話、前編です。

思い入れがありすぎたがゆえに

いよいよ、マツダの話である。

……随分と大げさな書き方で始めてしまったが、個人的な思い入れがありすぎたがゆえ、当コラムではなかなか取り上げることができなかった。

今回のテーマはマツダ。MX-30ロータリーEVについて前編、後編に分けてレポートする。
今回のテーマはマツダ。MX-30ロータリーEVについて前編、後編に分けてレポートする。    マツダ

私は2021年9月に発売された『スクランブル・アーカイブ・マツダ』(ネコ・パブリッシング刊)というムック本の編集を担当したことがある。コロナ禍で1年遅れとなったが、2020年のマツダ100周年に合わせて企画したもので、広島の本社取材も含めみっちりと関わらせて頂いた。

その前提として、2012年の初代CX-5デビュー以来、ほとんど途切れることなく一連の取材を重ねてきたことが大きかった。ご存知のように、現代マツダの礎となった『スカイアクティブ技術』と『魂動デザイン』の始まりとなったクルマで、そのスタートから見られたことは取材者として幸運だった。

また、千葉出身ながら幼少の頃より広島カープのファンで、何度も訪れた広島という地に思い入れがあるのも背景にはある。ここ数年は調子がイマイチだが、新井貴浩さんが監督をしているうちは何があっても応援したいと思っている。

最後は話が脱線したが、そういった人物がこのコラムを書いているということを頭の片隅に置きながら、読み進めて頂けると幸いだ。

アイコニックSPにひと目惚れ

遡ること2年前の『ジャパンモビリティショー2023』。そこでサプライズデビューした2ローターのロータリーEVシステムを搭載するコンセプトモデル『アイコニックSP』に、私はひと目惚れした。実はスケジュールの関係で取材には行かないはずだったが、プレスデイ2日目の夕方に滑り込みでこれだけ急きょ見に行ったほどだ。

当時所属していたティーポの誌面でロータリーEVを搭載する初の市販車『MX-30』の記事を作っていて、「さすがに本物を見ておきたい」と思ったのが本当のところ。しかし実車は文句なしのカッコよさで、「市販されたら購入する」と文末に書き、私のデスクには1/43のミニチュアカーを飾ってあるほどだ。

2ローターのロータリーEVシステムを搭載するコンセプトモデル『アイコニックSP』。
2ローターのロータリーEVシステムを搭載するコンセプトモデル『アイコニックSP』。    マツダ

ジャパンモビリティショー2023の開幕が10月25日で、『MX-30ロータリーEV』はその約1ヵ月前となる9月14日に発表されている。これは2021年にマツダ初のBEVとなった『MX-30EV』が登場した時点で予告されていて、フロントフード下にはロータリーエンジン(以下RE)用のスペースがぽっかりと空いていた。

ということで、現在MX-30のラインナップからEVは役目を終えたかのように落ちており、マイルドハイブリッドのガソリンモデルとロータリーEVの2本立てとなっている。現在のREは『8C』と呼ばれる新開発ユニットで、これ自体は駆動に使われず、あくまでEVのバッテリーを充電するためのレンジエクステンダーとして使用される。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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