最近のマツダ話、MX-30ロータリーEV後編【日本版編集長コラム#49】

公開 : 2025.09.28 11:45

AUTOCAR JAPAN編集長ヒライによる、『日本版編集長コラム』です。最近乗ったクルマの話、取材を通じて思ったことなどを、わりとストレートに語ります。第49回は、1ヵ月ほど試乗できた『マツダMX-30ロータリーEV』の話、後編です。

ようやく実車の登場

マツダが2012年のRX-8生産終了以来途絶えていたロータリーエンジン(以下RE)を、バッテリーを充電するためのレンジエクステンダーとして2023年に復活、搭載させた『マツダMX-30ロータリーEV』に1ヵ月ほど乗ることができたという話。前回の壮大なる前置き(思い入れ)に続き、ようやく実車の登場となる。

今回お借りしたのは『レトロスポーツエディション』で、ボディカラーは『ジルコンサンドメタリック』の2トーン。ちなみにロータリーEVは全てフロントを駆動する2WDのみとなるが、マイルドハイブリッドのガソリンモデルには4WDも用意される。

後編にしてようやく登場した、取材車の『マツダMX-30ロータリーEV』。
後編にしてようやく登場した、取材車の『マツダMX-30ロータリーEV』。    平井大介

レトロスポーツエディションは特別仕様で、ブラックで統一されたホイール、ドアミラー、ルーフといったエクステリアと、テラコッタと呼ばれるダークブラウンとブラックを組み合わせたインテリアが特徴。アウトドアが似合うSUVらしさと上質さを兼ね備えたボディカラーがよくマッチしている。

ボディサイズは全長4395mm、全幅1795mm、全高1595mm、ホイールベース2655mmで、車重は1780kg。モーターは最高出力170ps/9000rpm、最大トルク26.5kg-m/0-4481rpmで、8C-PH型と呼ばれるREは72ps/4500rpm、11.4kg-m/4500rpmとなる。価格は500万8300円と、少しお高めだ。

なんといってもMX-30の特徴は『フリースタイルドア』と呼ばれる、センターオープン式の前後ドアだろう。マツダに共通するフロントグリル『シグネチャーウイング』を持たないこと、CXではなくMXという別軸の車名を与えたことからも、これがひとつの挑戦的車種であることが伺える。

デビュー時の取材で聞いたところ、これまでにない新車種を求められたそうで、そこで辿り着いた答えがMX-30だったわけだ。

「さあ、回れ回れ~」

このクルマが心に響くかどうかは、フロントフェンダーに装着された逆三角形、おむすび形のエンブレムを嬉しく思うかどうかにかかっている。室内でそれがわかるものは特になく、REが起動した時に聞こえてくる音と、メーターに小さく表示されるおむすび型のマークぐらいだ。

その音に関しても、周囲の印象は完全に二分された。「うるさいだけ」と全否定の人もいれば、「おお~これか~」と感動する人もいるほどだ。筆者はご想像のとおり後者で、「さあ、回れ回れ~」とニヤニヤしてしまった。

フロントフェンダーに装着された逆三角形、おむすび形のエンブレム。
フロントフェンダーに装着された逆三角形、おむすび形のエンブレム。    平井大介

ノーマルモードで走っているとまずはEV走行となり、バッテリー残量50%を切った46%あたりでREが起動し充電を開始する。EVモードを選べばEV走行のみとなり、チャージモードを選べば強制的に充電が可能だ。

私は自宅に3kWの200V普通充電環境があるのでEVモードを多用したいところだが、メーターのおむすびを見たくて、チャージモードも意外と使用してしまった。そのため正確な燃費や電費は計れていないが、参考までに高速道路中心で200kmほど走行した際は燃費が18.6km/L、電費が4.8km/kWhとなった。

自宅での充電だが、残り37%で満充電まで4時間10分、残り41%で同じく3時30分という表示だった。カタログスペックは20→80%が約3時間50分だから、恐らくその通りの数値がでていた模様。

ひとつ気になったのは、充電中に冷却用の電動ファンが回り続けていること。これは強制オフもできるのだが、酷暑の期間だったのでそのまま使用した。しかし、住宅街であり、特に夜中は近所が気になってしまった。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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