e-2008より鋭いダッシュ プジョー2008 ハイブリッド(2) 多能なスタイリッシュSUV

公開 : 2025.09.22 19:10

フェイスリフトで最新プジョー顔を得た2008 製造品質に優れ高級感ある内装 EVのe-2008より鋭いダッシュ力 扱いやすいステアリングに穏やかな乗り心地 UK編集部が試乗

EVのe-2008より鋭いダッシュ 稀にギクシャク

プジョー2008のハイブリッドは、とても滑らかで身軽。0-100km/h加速は、バッテリーEV版のe-2008より鋭い8.3秒でこなす。走行中に全力ダッシュを求めると、キックダウンを待つ必要はあるが。

低速域では、ガソリンエンジンと電気モーターとの主役交代時に、若干ギクシャクすることがある様子。スポーツ・モードに設定しても、目立って活発になる印象はない。

プジョー2008 ハイブリッド145 GT(英国仕様)
プジョー2008 ハイブリッド145 GT(英国仕様)

6速デュアルクラッチATは、ユニット任せの方がサクサクとギアが切り替わる。ステアリングホイール裏のパドルで変速できるが、ワンテンポ遅れ気味。それでも、6速MTを積む2008より洗練度やリニア感は高い。

ブレーキペダルは、踏み始めの感触が柔らかく、低速域での制動力を少し調整しにくく思えた。他方、回生ブレーキは自然で、効果的に駆動用バッテリーを回復してくれる。

扱いやすいステアリング 穏やかな乗り心地

ステアリングは、セルフセンタリング性が若干強めながら正確で、市街地でも高速道路でも扱いやすい。切り始めは軽く回せ、負荷の上昇に合わせて重みが増すのも好ましい。

背が高めの2008だから、カーブではボディロールが小さくない。だらしないわけではないが、もう少し締まりがあっても良いだろう。グリップ力は充分以上だ。

プジョー2008 ハイブリッド145 GT(英国仕様)
プジョー2008 ハイブリッド145 GT(英国仕様)

乗り心地は、17インチ・ホイールの限り概ね穏やか。流れの速い一般道では、大きな凹凸を通過すると若干浮遊感を伴い、シートへ揺れも伝わってくる。18インチ・ホイールは、路面の細かな不正を拾いがち。見た目以外のメリットは少ないといえる。

風切り音は最小限。滑走するように進み、転がり抵抗も小さく感じられた。

競合より英国ではお高め 走り重視なら308

2008 ハイブリッド145の燃費は、普段使いを想定した条件で15.6km/L。高速道路のクルージングでは、16.6km/Lへ伸びていた。ルノー・キャプチャー E-テック・ハイブリッドの方がバッテリーやモーターが大きく、より高効率ではある。

充実装備とはいえ、価格は競合モデルと比較すると英国ではお高め。ハイブリッドのキャプチャーの方が、7000ポンド(約139万円)ほどお安い。

プジョー2008 ハイブリッド145 GT(英国仕様)
プジョー2008 ハイブリッド145 GT(英国仕様)

運転体験を優先させるなら、価格の近いプジョー308を選んだ方が賢明ともいえる。実用性や維持費も、大きくは違わない。

多様なニーズへ応えるスタイリッシュSUV

フェイスリフト後も、スタイリッシュな容姿が際立つ2代目2008。完成度は高く、多様なユーザーのニーズへ応えてくれるはず。

高品質で高級感のあるインテリアが大きな強みといえ、空間は広々としていて使い勝手も優秀。これで運転の刺激が濃くなれば、訴求力は一層増すに違いない。

プジョー2008 ハイブリッド145 GT(英国仕様)
プジョー2008 ハイブリッド145 GT(英国仕様)

◯:高級感あり広々とした車内 充実した装備 洗練され高燃費なハイブリッド・パワートレイン 悪くない加速と乗り心地
△:お高めの価格 より運転の楽しい競合はある 癖のあるiコクピット・レイアウト

記事に関わった人々

  • 執筆

    サム・フィリップス

    Sam Phillips

    役職:常勤ライター
    AUTOCARに加わる以前は、クルマからボート、さらにはトラックまで、EVのあらゆる側面をカバーする姉妹誌で働いていた。現在はAUTOCARのライターとして、トップ10ランキングや定番コンテンツの更新、試乗記や中古車レビューの執筆を担当している。最新の電動モビリティ、クラシックカー、モータースポーツなど、守備範囲は広い。これまで運転した中で最高のクルマは、1990年式のローバー・ミニ・クーパーRSP。何よりも音が最高。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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