プジョー508 RXH 2.0ブルーHDi

公開 : 2015.03.30 23:30  更新 : 2017.05.29 19:00

しかし意向が理解できることと、実際に納得がいくことは別の話。点数の多いプラスティック製パーツや非直感的なスイッチのレイアウトは、’単にシンプルであればいいわけではない’ という悪い例になりつつある。

リア・シート周辺のスペースや荷室の形には好感がもてるが、こちらもまたスバル・アウトバックやスコダ・スパーブなどの多くのライバルにはあと一歩のところで及んでいない。

ディーゼル・ユニットは日常の使用域では問題ないが、非常に素晴らしいと言えるほどではない。同じく、ギアボックスは変速を躊躇うことが多すぎるし、アイドリング・ストップ機構も煮詰めが足りない。

濡れた路面のうえでは明確なトラクション不足が露呈する。ホイールスピンが絶え間なく続き、大いにまとまりに欠けるのだ。

スピードを増していけば、ギアボックスはなめらかになり、トルクを得やすい回転域にギアを保ってくれる。ステアリングは人工的すぎるうえ楽しさに欠けるが、リラックスして運転できる重みの与え方は加点ポイントだ。

しかしながら、乗り心地と大きなボディ・ロールに代表される洗練性の欠落は、もう一度見なおしてほしいところ。現時点では、公道のうえでは落ち着きに欠け、振動やウインド/タイヤ・ノイズが目立つばかりである。

■「買い」か?

「どんなクルマなの?」と聞かれれば、静かに頷きながら「いいクルマだよ」と答える。508は、そんなクルマである。

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