ルノー新型EV『トゥインゴEテック』 11月6日発表、価格は340万円以下? キュートな小型ハッチバック

公開 : 2025.10.13 06:45

新型ルノー・トゥインゴEテックが11月6日に正式発表される予定です。欧州では先行予約の受け付けが始まっています。成長が期待される小型EV市場に向けたハッチバックで、初代モデルのデザインを踏襲しています。

初代トゥインゴのデザインを継承

ルノーは、新型EV『トゥインゴEテック(Twingo E-Tech)』を11月6日に公開すると発表した。欧州では10月8日から順次先行予約の受け付けを開始している。

ルノー5やルノー4の下位に位置づけられるエントリーモデルの小型EVで、開発は2年未満で完了した。今回、4枚の画像が新たに公開されたが、初代トゥインゴの影響を強く受けたデザインであることが確認できた。

ルノー・トゥインゴEテック
ルノー・トゥインゴEテック    ルノー

トゥインゴEテックの最大の特徴は1万7000ポンド(約340万円)未満という目標価格だ。「妥協のない実用的な都市型車両」の創出を目指すもので、特筆すべきは、2021年当時の先代トゥインゴ・エレクトリックのスタート価格である2万1350ユーロ(約380万円)を下回っている点だ。

Aセグメントに相当する小型EVの市場は近年成長を続けており、ダチア・スプリング(1万4995ポンド=約300万円)やリープモーターT03(1万5995ポンド=約320万円)に続いて、フォルクスワーゲンID.1、キアEV1、そしてルノー・トゥインゴEテックといった新モデルが発売予定だ。

ルノーは競合車との差別化のため、1992年の初代トゥインゴから着想を得たデザインを採用する方針だ。2024年公開のコンセプトカーはバブルのようなボディ形状で、半円形のライトが装備されていた。今回新たに公開された画像でも、そうした要素が量産バージョンに引き継がれていることがわかる。

ただし、コンセプトカーで採用されていた初代モデル風の一体型プルハンドルは、より一般的なグラブハンドルに変更されるなど、一部要素は従来的なデザインに近づいた。また、以前欧州で目撃されたテスト用のプロトタイプは、コンセプトカーより地上高が高くなっていた。

ボンネット上のバッテリー残量ディスプレイ(初代のデザインディテールを踏襲した3つの通気口のようなスクリーン)が採用されるかは不明だ。一方、全面ガラス製だったトランクは一般的な仕様に変更されている。

2年未満で開発 中国メーカーを意識

量産バージョンのインテリアはまだ公開されていない。しかし、コンセプトカーの時点でキャビンは「90%完成」の状態とされていた。ベーシックなシートや無地のサーフェイスなど、コスト意識を明確に反映した設計だ。

コンセプトカーのダッシュボード中央には、10.1インチのインフォテインメント・タッチスクリーンが配置され、運転席前方には7.0インチのデジタル・インストゥルメントクラスターも備わっていた。

ルノー・トゥインゴEテック
ルノー・トゥインゴEテック    ルノー

エクステリアと同様に、卵形のエアベントや表面処理、目立つ赤いハザードランプボタンなど、インテリアも初代モデルを彷彿とさせるデザインとなっている。ルノーはこのキャビンを「開放的で円筒形、浮遊感のある」空間と表現し、「気軽さを重視して設計した」と説明している。

パワートレインに関する詳細は明かされていないが、Bセグメントのルノー5 Eテックと同様の構成となる見込みだ。5 Eテックでは、最高出力120psのモーターと40kWhのバッテリーを搭載し、305kmの航続距離を実現している。しかし、トゥインゴではコスト削減のため、さらに小型のバッテリーが搭載される可能性もある。例えば、同じルノー・グループ傘下のダチア・スプリングは25kWhのバッテリー(航続距離225km)を採用している。

トゥインゴはルノーにとって、さまざまな側面から重要なモデルと言える。まず、中国の自動車メーカーとの競争激化をふまえ、迅速に製品展開を行うために開発期間をわずか21か月(1年9か月)とした。参考までに、現行の5代目クリオ(日本名:ルーテシア)の開発には48か月(2年)かかっている。

この開発期間の大幅な短縮は、7月末にルカ・デ・メオ氏の後任としてルノー・グループのCEOに就任したフランソワ・プロヴォスト氏が主導している。プロヴォスト氏は「競争力」を高めるため、開発期間のさらなる短縮を掲げている。

また、ソフトウェア主導のプラットフォーム開発に注力し、部品点数を減らしてコスト削減を図る。デ・メオ前CEOは、新型CセグメントSUVと比較してハッチバックの生産コストが50%低減されると主張していた。

その鍵を握るのが、昨年ルノー・グループ内に設立されたアンペア社だ。アンペアは、生産工程における変動費削減などを通じて、EVと内燃機関車の価格差解消を目指している。

もう1つの重要な側面はCO2排出量だ。ルノーは、トゥインゴのライフサイクル全体のCO2排出量について「2023年に欧州の販売される平均的な内燃機関車」と比べて75%少ないとしている。欧州の企業平均排出量など、厳しい環境規制に対応する上で欠くことのできない存在と言えそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    役職:ニュース編集者
    ニュース編集者としての主な業務は、AUTOCARのニュースの方向性を決定すること、業界トップへのインタビュー、新車発表会の取材、独占情報の発掘など。人と話したり質問したりするのが大好きで、それが大きなニュースにつながることも多い。これまで運転した中で最高のクルマは、アルピーヌA110。軽快な動きと4気筒とは思えないサウンドが素晴らしい。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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