ルノーが低価格EV 新型『トゥインゴ』2026年発売へ デザインはコンセプトカーとほぼ同じ?

公開 : 2025.08.19 06:45

新型ルノー『トゥインゴ』のプロトタイプが欧州の公道で発見されました。昨年公開のコンセプトカーとほぼ同様のデザインを採用しているようです。300万円台での販売を目指す低価格EVで、日産も兄弟車を計画中です。

プロトタイプ発見 丸っこいフォルム採用

ルノーは、4代目となる新型『トゥインゴ』を2026年半ばに発売する予定だ。Aセグメントに相当する小型EVで、目標価格は1万7000ポンド(約340万円)未満とされている。

今回、欧州の公道でテスト走行を行うプロトタイプが目撃された。1992年の初代モデルからインスピレーションを得たコンセプトカーのデザインを、量産バージョンでもほぼそのまま受け継いでいることがわかった。

2024年に公開された『トゥインゴ』コンセプト
2024年に公開された『トゥインゴ』コンセプト    ルノー

プロトタイプにはカモフラージュが施されていたが、丸みのあるフォルムはコンセプトカーと同じだ。フロントとリアには半円形のライトが採用されているようだ。

しかし、ドアハンドルは一般的なものに変更されている。また、最低地上高もやや高い。ボンネットに3つの通気口のようなスクリーン(バッテリー残量を表示)が採用されるかどうかは不明だが、リアウィンドウは奇抜な形状ではなく、従来型のトランクリッドにまとめられている。

量産バージョンのインテリアはまだ公開されていない。ただし、コンセプトカーのインテリアは「90%完成」状態とされており、ベーシックなシートや素材など、コスト重視のデザインとなることは間違いない。

コンセプトカーのダッシュボード中央には、10.1インチのインフォテインメント・タッチスクリーンが配置され、主要機能用の物理スイッチとダイヤル、7.0インチのデジタルインストゥルメントクラスターも備わっている。

コスト削減を主眼に開発

新型トゥインゴは、ルノーのEV推進における大きな一歩となる。最大の特徴は、1万7000ポンド(約340万円)未満からという手頃な価格設定だ。これは、2021年の先代トゥインゴ・エレクトリックのスタート価格2万1350ユーロ(約365万円、英国未導入)を下回る。

英国で現在販売されている最も安価なEVは、1万4995ポンド(約300万円)のダチア・スプリングと1万5995ポンド(約320万円)のリープモーターT03だ。

2024年に公開された『トゥインゴ』コンセプト
2024年に公開された『トゥインゴ』コンセプト    ルノー

低価格を武器とするAセグメントの小型EVはこれから徐々に増え、フォルクスワーゲンID.1やキアEV1などがデビューを控えている。日産も、トゥインゴをベースとする新型車の投入を計画している。

パワートレインに関する詳細は明かされていないが、ルノー5と同様の構成となる可能性がある。5では、最高出力120psのモーターと40kWhのバッテリーを搭載し、305kmの航続距離を実現している。しかし、トゥインゴではコスト削減のため、さらに小型のバッテリーが搭載される可能性もある。例えば、同じルノー・グループ傘下のダチア・スプリングは25kWhのバッテリーにより225kmの航続距離を謳っている。

トゥインゴは、ルノーにとって複数の側面から重要なモデルと言える。まず、中国の自動車メーカーとの競争激化をふまえ、迅速に製品展開を行うために開発期間をわずか21か月(1年9か月)とした。

この開発期間の大幅な短縮は、7月末にルカ・デ・メオ氏の後任としてルノー・グループのCEOに就任したフランソワ・プロヴォスト氏が推進している。

また、ソフトウェア主導のプラットフォーム開発に注力し、部品点数を減らしてコスト削減を図ることで、EVと内燃機関車の価格差の解消を目指している。

CO2排出量も大きなポイントだ。ルノーは、新型トゥインゴの生涯CO2排出量について「2023年に販売される欧州の平均的な内燃機関車」よりも75%少ないとしている。欧州の企業平均排出量など、厳しい環境規制に対応する上で欠くことのできない存在と言えるだろう。

なお、コストの観点から右ハンドル車が導入されるかどうか不透明であったが、ルノーのブランドCEOであるファブリス・カンボリーヴ氏への取材で、英国市場での販売が確認された。

現時点では、日本への導入計画は明らかではない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    役職:ニュース編集者
    ニュース編集者としての主な業務は、AUTOCARのニュースの方向性を決定すること、業界トップへのインタビュー、新車発表会の取材、独占情報の発掘など。人と話したり質問したりするのが大好きで、それが大きなニュースにつながることも多い。これまで運転した中で最高のクルマは、アルピーヌA110。軽快な動きと4気筒とは思えないサウンドが素晴らしい。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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