【ホンダ・スーパーワン・プロトタイプ】楽しさ見違えるブースト・モード!ファンキー&キュートな軽に初乗り(後編) #JMS2025

公開 : 2025.11.07 12:26

ジャパンモビリティショー2025で発表された、『ホンダ・スーパーワン・プロトタイプ』試作車のUK編集部試乗記後編です。楽しさが見違えるブースト・モード、低重心で敏捷な身のこなしなど、まさにファンキー&キュート!

楽しさ見違えるブースト・モード

ホンダ・スーパーワン・プロトタイプ(英国名:スーパーN)への試乗時間は限られたが、大きな期待を抱かせるものだった。プロトタイプを、カーブが連続するコースで数周走らせたが、安定性や操縦性は秀抜。運転の感覚を強めることにも、腐心されたことは明らかだ。

デフォルトのドライブモードは、電動コンパクトカーらしく穏やか。発進加速は鋭いものの、30km/h超辺りから穏やかになる。気持ちが高ぶることはないが、洗練度は高い。

ホンダ・スーパーワン・プロトタイプ(スーパーN)
ホンダ・スーパーワン・プロトタイプ(スーパーN)

ところがブースト・モードへ切り替えると、楽しさが見違える。アクセルレスポンスはシャープになり、フロントタイヤを駆動するモーターは全力が開放される。

加速は驚くほど強力。オリジナルの64psを、遥かに上回るパワー感だといっていい。感覚的には、フィアット500eやミニ・クーパー Eと同じくらい。混雑した都心部への通勤時間が、面白くなることは間違いない。

シビック・タイプRへ似た人工音の響き

人工のエンジン音は、特定のモデルをサンプリングしたわけではないと主張されるが、シビック・タイプRへ載る4気筒ターボへ酷似している。これが、思わず笑ってしまうほど気分を盛り上げる。

バッテリーEVの中には、少し試して、聞き飽きてしまうようなフェイクサウンドもある。だが、スーパーNの響きは、それと一線を画すように思えた。

ホンダ・スーパーワン・プロトタイプ(スーパーN)
ホンダ・スーパーワン・プロトタイプ(スーパーN)

擬似的に7速MTを模した変速も、驚くほどリアル。トルク感は、ギアを変える毎に変化し、一気にシトダウンしてロケットダッシュを決めることも可能。仮想のレッドライン付近を長めに保つと、燃料がカットオフされるように回転数が落ちる仕掛けもある。

低い重心で敏捷な身のこなし

見た目は軽自動車らしく背が高めだが、駆動用バッテリーの搭載位置が低く、ガソリンエンジンのスポーツカーより重心は低いとホンダは主張する。これにワイドなトレッドと、ボディの四隅へ配置されたタイヤ・レイアウトが相乗する。

つまり身のこなしは敏捷で、スタビリティも高い。ステアリングの手応えは足りないかもしれないが、反応はクイック。ボディロールも印象的なほど抑えられていた。シャシーが、しっかり強化されているのだろう。

ホンダ・スーパーワン・プロトタイプ(スーパーN)
ホンダ・スーパーワン・プロトタイプ(スーパーN)

ヘアピンからの加速時は、軽いトルクステア。幅185のヨコハマ・アドバン・タイヤが堪え、リミテッドスリップ・デフなしでもラインが酷く乱れるほどではなかったが。

ホンダによれば、英国導入に向けて、グレートブリテン島で徹底的なテストを実施したという。だが、どんな専用チューニングが施されたのかは、教えてくれなかった。傷んだアスファルトに合わせて、人工エンジン音のボリュームは上げたという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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