絶望のランチア デルタ・インテグラーレ・エボとの惜別(1) 自分の延長になる愛車

公開 : 2025.12.06 17:45

所有物と認識した途端に高まる価値観

なぜクルマ好きは、愛車へ深い想いを抱くのだろう。「心理学者としての見解は、所有物と所有者の関係には合理性も論理性もなく、感情的なものだということです」

「モノへ感じる価値は、所有物だと認識した時に高まります。これは、保有効果と呼ばれます。自分のアイデンティティが染み込んだように、感傷的になりやすいのです」

ランチア・デルタ・インテグラーレ・エボ・ジャッロ・フェラーリと、筆者のリチャード・ウェバー
ランチア・デルタ・インテグラーレ・エボ・ジャッロ・フェラーリと、筆者のリチャード・ウェバー    マックス・エドレストン(Max Edleston)

「クルマは、休暇や人生の重要な出来事など、自伝的な記憶と強く結びつく余地が大きいといえます。旅の仲間のように感じることへ、寄与しがちです。クルマの匂いや音は、そうした連想を豊かにし、個性を与えることに役立つのかもしれません」

「特に初めて買ったクルマは、大人への移行期と結びついてもいます。多くのブランドやモデルには、豊かな文化や歴史も備わります。自身のアイデンティティを示す手段へ、クルマは特になりがちといえます」

この続きは、デルタ・インテグラーレ・エボとの惜別(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・ウェバー

    Richard Webber

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

デルタ・インテグラーレ・エボとの惜別の前後関係

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