「離れるのが心配でならない」 シムカ・アロンド・プラン・シエル(2) とある女性が愛して34年

公開 : 2025.12.20 17:50

「クルマから離れるのが心配でならない」

海岸線の道を流す速度で、ステアリングは適度に軽い。反応は正確で、きついカーブへ飛び込むと、負荷に合わせて重みが増す。タイヤは古いクロスプライだが、直進性は悪くない。静かに回るエンジンはトルクが細く、変速の度に古い4気筒だと実感する。

ゲート間が広く、ギアは選びやすい。クラッチペダルは踏みやすく、レイアウトも好ましい。ブレーキはドラムだが、良く効きバランスも良好。サスペンションは硬めで、若干跳ねるような乗り心地だが、不思議と快適に思えるのがフランス車らしい。

シムカ・アロンド・プラン・シエル(1957〜1962年/欧州仕様)
シムカ・アロンド・プラン・シエル(1957〜1962年/欧州仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

「ファセル・クラブへ入会していて、シムカのパーツも入手できます。購入した時点で、部品はすべて揃っていました。幸運なことに」。と彼女が振り返る。他モデルから流用されることが多いテールライトですら、専用アイテムだという。

これほど大切にされるシムカを、筆者は他に知らない。「雨の日は乗りません。フランスのイベント遠征を計画中ですが、会場でクルマから離れるのが心配でならないの」

シムカ・アロンド・プラン・シエル(1957〜1962年/欧州仕様)のスペック

英国価格:1500ポンド(新車時)/2万5000ポンド(約510万円)以上(現在)
生産数:1万1560台
全長:4166mm
全幅:1575mm
全高:1346mm
最高速度:140km/h
0-97km/h加速:20.0秒
燃費:9.6km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1100kg
パワートレイン:直列4気筒1288cc 自然吸気OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:57ps/4800rpm
最大トルク:−
ギアボックス:4速マニュアル/後輪駆動

記事に関わった人々

  • マーティン・バックリー

    Martin Buckley

    英国編集部ライター
  • マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

シムカ・アロンド・プラン・シエルの前後関係

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