まだ独立系企業だった頃のAMG 1982年の英国デビューを振り返る 歴史アーカイブ

公開 : 2025.12.23 17:05

しかし価格は「法外」

一方、「もともと引き締まったメルセデスのサスペンションは、より硬く短いコイルスプリングとビルシュタイン製ダンパーにより、柔軟性が低下したもののレスポンスは向上した」、「ダンロップD40超低プロファイルタイヤにより、巨大な接地面積をもたらしている」と評価された。

「最初の数マイルでは、シャシーの応答性と精度が向上し、ターンインが鋭くなったこと以外に、AMGによる改造のメリットを実感するのは難しい。しかし、AMGは、非常に過酷な道路をハードに高速で走らせることを要求してくる。その巨体からは想像もつかないほどの安定感とバランスで、S字カーブを軽やかに駆け抜けるのだ」

190(W201)
190(W201)

「タイヤが温まればグリップ限界は非常に高いが、タイヤが冷えている状態や濡れた路面では、突然テールスライドを引き起こす可能性がある。248psのパワーを最大限の敬意をもって扱うべきだと、改めて思い知らせてくれる。e-LSDが働いているにもかかわらずである」

「だが、ハードに走れば走るほど、その真価は発揮される。適切な道路では、首根っこを掴むように荒く扱っても、決して噛みついてくることはない。常に揺るぎない安定感と、確固たる一体感を備えた、高潔な乗り心地だ」

AUTOCARはAMGの価格設定を「法外」と評した。この試乗車は7万ポンド(現在のレートに換算すると約18万6000ポンド=約3900万円)もしたが、数々の欠点(粗雑なプラスチック製スポイラー、内装の低品質なグロスブラック塗装、路面の凹凸でサイレンサーが接触する、深刻なブレーキフェード)があった。

AMGの「最高傑作」である400psの6.0L V8を搭載したW124セダンが、どれほど驚異的な仕上がりだったかは想像するしかない……。

記事に関わった人々

  • 執筆

    クリス・カルマー

    Kris Culmer

    役職:主任副編集長
    AUTOCARのオンラインおよび印刷版で公開されるすべての記事の編集と事実確認を担当している。自動車業界に関する報道の経験は8年以上になる。ニュースやレビューも頻繁に寄稿しており、専門分野はモータースポーツ。F1ドライバーへの取材経験もある。また、歴史に強い関心を持ち、1895年まで遡る AUTOCAR誌 のアーカイブの管理も担当している。これまで運転した中で最高のクルマは、BMW M2。その他、スバルBRZ、トヨタGR86、マツダMX-5など、パワーに頼りすぎない軽量車も好き。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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