世界初の「スポーツカー」 ヴォグゾール 20HP Aタイプ(1) 最高出力40ps 強豪ワークスマシンを量産化

公開 : 2026.03.15 17:45

1915年までに1000台以上が売れた大ヒット

ホイールベースは、約2920mmと約3125mmの2種類を用意。ロング版はサイドメンバーが強化され、フォーマルなサルーンが想定されていた。トランスミッション側に組まれたブレーキはペダルで、リアの12インチ・ドラムはレバーで操った。

ボディは、標準のロータンドが465ポンドで、大きなスリークォーター・ランドーレットは575ポンド。シャシー単体でも420ポンドで売られ、コーチビルダーへ独自にボディ製作を依頼することも可能だった。

ヴォグゾール 20HP Aタイプ(Yタイプ・ワークスマシン・レプリカ/1908~1915年)
ヴォグゾール 20HP Aタイプ(Yタイプ・ワークスマシン・レプリカ/1908~1915年)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

市場の反応は良好で、1908年の発売から1年ほどで134台を提供。1910年に新しいヴォグゾールのロゴマークを得つつ、多様なバリエーションへ派生し、生産を終える1915年までに1000台以上が売れている。当時としては、大ヒットだといっていい。

モデル末期まで、自社製ボディは殆ど変更されなかったが、エンジンは改良が続けられた。内部部品の軽量化などで、最高出力は当初の32psから40psへ上昇している。

ニュージーランドで伝説になったYタイプ

今回ご登場願ったモデルは、1910年式の20HP Aタイプ。この年式のモデルコードは、A090型と呼ばれている。シャシー番号は229で、最初のオーナーはニュージーランドに住んでいた。輸入したのは、現地で代理店を営んだウォルター・スコット氏だ。

英国側と同様に、彼もモータースポーツが有効なPRになると考えていた。1908年の活躍へ触発され、ワークス仕様とまったく同じYタイプを、自ら発注している。

ヴォグゾール 20HP Aタイプ(Yタイプ・ワークスマシン・レプリカ/1908~1915年)
ヴォグゾール 20HP Aタイプ(Yタイプ・ワークスマシン・レプリカ/1908~1915年)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

それが届いたのは、1908年の後半。ヴォグゾールの歴史へ詳しいニック・ポートウェイ氏の著書によれば、年末のクリスマスに開かれた、4日間のAAカンタベリー・レースへ参戦している。総勢36台のマシンを抑え、ゴールドメダルを獲得したという。

この圧倒的な速さは、モータースポーツが注目を集めていたニュージーランドで、後年まで語られる出来事に。その後の4年間にも、各地のヒルクライムやトライアルなどで勝利を重ね、伝説的なマシンとしてYタイプは知られるようになった。

この続きは、ヴォグゾール 20HP Aタイプ(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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