ポルシェ911 カレラ4 GTSカブリオレ(2) 加速はメルセデスAMG SL 63を凌駕 コーナリングはクーペへ遜色なし 傑出の完成度

公開 : 2026.03.26 18:10

541psのT-ハイブリッドになった、911のGTS。クーペとカブリオレの性能差はどの程度なのでしょう。剛性低下に重量増加は? 四輪駆動のカレラ4で、UK編集部が走りの違いへ迫ります。

スーパーカー級の加速力 自然吸気のようにリニア

水平対向6気筒ターボエンジンに電気モーターを組合せ、541psと62.1kg-mを発揮する、ポルシェ911 カレラ4 GTSカブリオレ。クーペより車重は160kgほど重いとはいえ、1.0t当たりの馬力は307psもあり、0-100km/h加速を2.9秒で処理する。

四輪駆動の恩恵で、加速は常時安定。0-400mダッシュは11.0秒と、メルセデスAMG SL 63 コンバーチブルの11.6秒を凌駕し、スーパーカー級の動力性能を誇る。

ポルシェ911 カレラ4 GTSカブリオレ(英国仕様)
ポルシェ911 カレラ4 GTSカブリオレ(英国仕様)

992.2型の3.6Lユニットは、環境規制に合わせて若干パワーダウンしたものの、モーター内蔵のe-ターボは、電気の力で強制的にタービンを回転。レスポンスを5%ほど鋭くしつつ、リニアなパワー感は、まるで自然吸気エンジンのよう。

8速デュアルクラッチATへ実装される、駆動用モーターのアシストは殆ど感知できず、フィーリングは非常に自然。放たれるサウンドも豊かで、特徴という点でも不満はない。燃費は、高速道路の巡航で11.7km/Lと、1度の満タンで700km先は目指せる。

遜色ないコーナリング 剛性低下も最小限

従来の911と異なり、四輪駆動による操縦性の変化は極めて小さい。後輪駆動のカレラと乗り比べれば、僅かにステアリングホイールは重いものの、流暢にカーブを巡れる秀抜のバランスは変わらず。車重が増えたことで、慣性は若干増しているが。

ルーフを省いたことによる、ボディ剛性の低下も最小限で、ステアリングの切り始めから反応は精緻。これ以上を求めるなら、中古のロータス・エリーゼを探すしかない。

ポルシェ911 カレラ4 GTSカブリオレ(英国仕様)
ポルシェ911 カレラ4 GTSカブリオレ(英国仕様)

フロントアクスルは、通常は駆動へ関与していない。ステアリングの切り角とGセンサーの情報を元に、必要な場合に予測的にトルクが伝達される。その結果、パワーオン時のコーナリングは、後輪駆動の911と遜色ないほど滑らか。

サーキットへ持ち込み限界領域へ迫っても、アクセルペダルの加減で旋回性を高め、出口で軽くテールスライドさせつつ加速するという、一連の爽快感を味わえる。むしろトラクションで勝り、より速い。充足感の高い911に仕上がっている。

乗り心地はオープンモデルとしては硬め

普段使いできるポルシェとして、ウェットモードも装備。フロントへのトルク伝達が積極的になり、トラクション・コントロールの制御は保守的になる。バイワイヤ制御のアクセルペダルの反応も、若干マイルドになる。

とはいえ、そもそも安定性は突出して優れる。ハイドロプレーニング現象が心配される状況以外、切り替える必要はないかもしれない。

ポルシェ911 カレラ4 GTSカブリオレ(英国仕様)
ポルシェ911 カレラ4 GTSカブリオレ(英国仕様)

リアタイヤは21インチで、乗り心地は低速域で特に硬め。ライトな911 GT3のような走りを求めるユーザーには、妥協できるレベルだが。他方、コンバーチブルらしく大らかにクルージングさせたい向きには、若干相容れないともいえる。

カブリオレに限らず、911で弱点となるのがロードノイズ。タイヤの転がり音に、幅の広いタイヤが跳ね上げる小石の音が重なり、80km/hで走行時の車内は68dBA。スリリングな体験を享受できるスポーツカーとして、許容できる範囲だけれど。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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