シープ・アヴェンジャーにAWDの大本命『4xeハイブリッド』登場! 入念に作り込まれた「らしさ」でライバル不在?

公開 : 2026.03.05 12:00

3月5日、ステランティス・ジャパンはジープ・アベンジャーに『4xeハイブリッド』を追加しました。前輪駆動のBEVのみだったラインナップに、AWDと48VのMHEVを備えたモデルが追加です。吉田拓生が解説します。

前輪駆動のBEVのみだったラインナップ

3月5日、ステランティス・ジャパンはジープの最小モデルに、『アベンジャー4xeハイブリッド』を追加した。と言ってもこれはスケールの大きな話で、前輪駆動のBEVのみだったラインナップに、AWDシステムと48VのMHEVを備えたモデルが加わったのだ。

車体の核となっているのはおなじみのCMPプラットフォームで、基本的なスタイリングはBEV版に準じている。それでもバンパーをはじめとする細部のデザインは4xe専用となっている他、タイヤもグッドイヤーのベクターオールシーズンが標準装着される。

ジープ・アベンジャーに追加設定された『4xeハイブリッド』。
ジープ・アベンジャーに追加設定された『4xeハイブリッド』。    神村聖

パワートレインは、車体の前半分はアルファ・ロメオジュニア・イブリダ、フィアット600ハイブリッドなどのきょうだい車と一緒。つまり1.2L直列3気筒ターボにスタータージェネレーター(BSG)を装着。6速DCTギアボックス内にも最高出力21psの駆動モーターを装備している。

そしてきょうだい車と同様、時速30km/h以下かつ低負荷であれば、MHEVであるにもかかわらずEV走行が可能になっている。

前側だけでもBセグメントとしては凝ったシステムといえるが、驚くべきは後側だ。

リアには最高出力29psのモーター(P4)を含むシステムが据えられているのだが、その内部にギア比22.7:1の減速機構が組み込まれており、後軸の最大トルクはなんと2020Nmにも達する。

この数値は、岩場をよじ登るラングラー・ルビコン(副変速機で3万920Nm!)ほどではないが、それでも並みのSUVではありえないスペックだ。

スタイルこそすっきり系の『アベンジャー4xeハイブリッド』だが、中身はジープらしさで満たされているのである。

強い加速を欲した時のみリアが介入

外観と同じく、室内も直線基調のシンプルな意匠でまとめられている。シートは今回4xeハイブリッドに初採用された完全防水の布地と合皮のコンビで、丸洗いが可能だ。

セレクテレインはスポーツ、オート、スノー、サンド&マッドという4つのモードから選べる。

リアには最高出力29psのモーターを含むシステムが据えられている。
リアには最高出力29psのモーターを含むシステムが据えられている。    神村聖

オートの走り出しはモーターのみで、いつの間にかエンジンがフェードインしている。メーターパネル内に示された駆動状況を見る限り、オンロードで普通に走らせればほぼ前輪のみの駆動で、強い加速を欲した時のみサッとリアが介入しAWD状態になる。

一方、サンド&マッドでオフロードを走ると、今度はリアモーターのみで走っている時間が長い。『フルタイムAWD』といったほうが走破性が高そうなイメージがあるが、実際にはオンデマンドで4輪を駆動できるほうが効率が良いという事実を思い知らされる。

一方、ほとんど作動の切り替えを感知させない賢い4xeパワートレインの所作よりもわかりやすいのは、乗り心地の良さや静粛性だった。

それらを支えているのは、対角線のサスペンションが伸びきるような悪路でもミシリともいわない高いボディ剛性だ。このBセグSUVらしからぬ体幹の強さは、プラットフォームが小型車を得意とするヨーロッパ生まれということもあるが、床下にバッテリーを敷き詰めつつ衝突安全規定をクリアしているという成り立ちも関係しているはずだ。

結果的にこれまでにないほど小さく、しかし高級車のような資質を兼ね備えたグローバルなジープが誕生したというわけだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    神村聖

    Satoshi Kamimura

    1967年生まれ。大阪写真専門学校卒業後、都内のスタジオや個人写真事務所のアシスタントを経て、1994年に独立してフリーランスに。以後、自動車専門誌を中心に活躍中。走るのが大好きで、愛車はトヨタMR2(SW20)/スバル・レヴォーグ2.0GT。趣味はスノーボードと全国のお城を巡る旅をしている。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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