飯田裕子がイタリアのデザインセンターで訊く 新型アルファ・ロメオ・トナーレのDNA表現方法 「変化は正統でなければならない」

公開 : 2026.03.19 11:45

秀逸なフロントマスク

今回のデザイン変更のメインは、やはりフロントマスクと言えるだろう。

新たな解釈によって採用されたブラックのスクデット(盾型グリル)は凹凸のあるスリットを採用し、精悍さと柔らかさというトナーレのイメージを絶妙に体現しているよう。そこからキラッと光る3連LEDライトへと広がる表情も印象的だ。

今回のデザイン変更のメインは、やはりフロントマスクと言える。
今回のデザイン変更のメインは、やはりフロントマスクと言える。    ステランティス

ロマノス氏との決して長い時間ではないインタビューの中で、「秀逸!」と思えたのもこのフロントマスクだった。

実は彼が今回のフェイスリフトを行うために最初に行ったのが、「レギュレーションを理解すること」だったそう。近年ますます対策が求められる安全性のなかで、歩行者保護対策がこのデザインに盛り込まれている。いや、採り入れなければならなかったのだ。

大胆かつ華やかに張り出した両サイド、エアインテーク上限のボリュームこそ、歩行者の万が一の際に理想的なタッチポイントなり得るデザイン。エアインテークまわりのデザイン変更により、わずかながらクーリングキャパシティ(開口部)も増え、さらにこの造形のおかげでエアロダイナミクス効果も上がったそうだ。 

「変化のための変化ではなく、正統なものでなければならない」ともロマノス氏。代り映えが目的であるようなデザインであってはならないということだ。

ドライビングダイナミクスの進化にも期待

前後の各輪で4mmオフセットされた車軸は外見をワイドスタンスに見せる効果もあるが、スタビリティ、安定感、バランスの取れた姿勢が動的な性能向上にも繋がっている。

ボディを真横から眺めながら、ロマノス氏はスタンス(姿勢や構え)の美しさについても言及した。

「こんな風に低く、軽く構えるスタンスを持つモデルはないでしょう?」
「こんな風に低く、軽く構えるスタンスを持つモデルはないでしょう?」    ステランティス

「タイヤの配置といい、SUVでありながらこれだけ美しいルーフラインの傾斜といい、こんな風に低く、軽く構えるスタンスを持つモデルはないでしょう?」

私はもちろん「イエス」と答えた。しかもトナーレはこれだけルーフが低く見えても、後席のヘッドクリアランスもしっかりと保たれている。これは既存モデルから変わらぬ良さだ。

新型トナーレは、エンジンやハイブリッドシステムなど動的な性能の改良も加えられているようだから、デザインだけでなく、アルファ・ロメオのドライビングダイナミクスのDNAもさらに進化していることを期待している。

トリノで印象的だったのは、20インチタイヤにディスク部分が大胆なまでに大きくくり抜かれた3つの円が印象的なホイール。本稿執筆時点ではまだ試せていないが、20インチでも乗り心地が相変わらず良いことを願っている。

そんなあれこれを確かめられる試乗が待ち遠しい。期待のモデルが、日本にやって来た。

記事に関わった人々

  • 執筆

    飯田裕子

    Yuko Iida

    免許を取るまではクルマにまったく興味がなかった女子だったが、山に囲まれた実家の近くは折しも峠ブーム。ドライビングやスポーツカーへの興味を抱くようになる。自動車メーカーでOLをしながら弟(飯田章)とレース活動をスタート。退職後「クルマ×人(中心)×生活」をテーマとするジャーナリストに。現在の愛車はポルシェボクスター(981)

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