凛々しい目つきで誘惑 アルファ・ロメオ・トナーレ・プラグインHV(1) Q4のアプデ内容を概説

公開 : 2025.11.14 18:05

クロスオーバー人気に乗りたいトナーレ 2026年仕様でアップデート スポーティでソリッドさが増した内装 直感的で滑らかに動くパワートレイン クイックなステアリング UK編集部が試乗

クロスオーバー人気の波を狙う

アウディQ3ボルボXC40などの、クロスオーバー人気の波へ乗るべく登場した、アルファ・ロメオトナーレ。発売は2022年で、プラットフォームはFFベース。ダイナミックなステルヴィオと趣向は違うが、スポーティさが前面に打ち出されている。

マイルドとプラグインのハイブリッドを揃え、価格も高すぎず戦略的。ところが、販売は低調にある。ここ3年に英国で売れたのは、3000台へ届かないらしい。同じ期間にQ3は4万5000台以上、XC40は約3万台が納車されたのに。

アルファ・ロメオ・トナーレ・プラグイン・ハイブリッド Q4スポーツ・スペチアーレ(欧州仕様)
アルファ・ロメオ・トナーレ・プラグイン・ハイブリッド Q4スポーツ・スペチアーレ(欧州仕様)

そんな状況を打開するべく、トナーレはフェイスリフト。そもそも、売れる可能性は秘めている。サイズは全長4530mm、全幅1840mm、全高1600mmで、該当クラスの平均。このプロポーションで、大胆な造形は簡単ではないようだが。

プラットフォームは、旧FCAグループ時代のSCCS。大幅な改良を受けているが、現在のステランティス・グループではトナーレのみが利用する。サスペンションは、前がマクファーソンストラット、リアは簡素化されたマルチリンクとなる。

アプデで凛々しい表情に プラグインHVは269ps

ヘッドライトは、アルファ・ロメオSZを想起させ、サイドのキャラクターラインはGT風。テレダイヤル・ホイールも、このブランドらしい。とはいえ、美しいもののインパクトが強いわけではなく、期待する魅惑力までは得ていないと思う。

2026年のアップデートで、ナンバープレートは中央に移動。目つきが凛々しくなった。逆三角形グリルの左右には、計4本のスリット。オーバーハングは短くなり、見た目の重さは軽減された。ボディには新色が追加。ホイールの選択肢も増えている。

アルファ・ロメオ・トナーレ・プラグイン・ハイブリッド Q4スポーツ・スペチアーレ(欧州仕様)
アルファ・ロメオ・トナーレ・プラグイン・ハイブリッド Q4スポーツ・スペチアーレ(欧州仕様)

パワートレインは、英国では前輪駆動で175psの1.5Lマイルドか、四輪駆動で269psのプラグインという、ハイブリッドの2択。前者は電圧48Vのシステムを採用する。今回試乗したのは後者。1.3L 4気筒ターボが前輪を、電気モーターが後輪を受け持つ。

駆動用バッテリーは15.5kWhあり、カタログ上では電気で61km走行可能。なお、Q3のプラグインHVは112km走れる。車重は1835kgで、前後の重量配分は53:47となる。

見た目ほど広くない車内 すぐに馴染める操作系

車内空間は、見た目ほど広くない。前席側は座面の位置が高く、天井が近く感じられる。後席側も同様で、クラス平均より高さ方向は10%ほど低い。荷室は、マイルドHVなら500Lと広々だが、プラグインHVの場合、床下収納が奪われ約400Lになる。

ダッシュボード回りの操作系はシンプルなデザインで、多くの人がすぐに馴染めるはず。ブランドのトレードマークといえる、丸い「カノキアーレ」カウルが覆うメーターパネルには液晶モニター。ステアリングホイールの裏へ、アルミ製パドルが備わる。

アルファ・ロメオ・トナーレ・プラグイン・ハイブリッド Q4スポーツ・スペチアーレ(欧州仕様)
アルファ・ロメオ・トナーレ・プラグイン・ハイブリッド Q4スポーツ・スペチアーレ(欧州仕様)

エアコンの操作は、実際に押せるハードスイッチで可能。同社がDNAと呼ぶドライブモード用の、ダイヤルもうれしい。反応が遅く、希望のモードを選びにくく感じたが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

アルファ・ロメオ・トナーレ・プラグインHVの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事