プジョー3008はハイブリッドよりEVが似合う? 取り戻した感のある205や306の挙動【森口将之が解析】

公開 : 2026.06.08 12:05

航続距離はWLTCモードで604km

プラットフォームは、シトロエンC5エアクロスやDS No8などにも使われる『STLAミディアム』。EVということではNo8と同じだが、こちらはAWDではなく前輪駆動。モーターの最高出力/最大トルクは157kW/343Nm、バッテリー容量は73kWh、満充電での航続距離はWLTCモードで604kmと、十分な値だ。

車両重量はエンジン車より500kg以上重い2160kg。これはリアサスペンションがトーションビームからマルチリンクになったことも関係しているが、加速に不満はない。発進停止のマナーも違和感はなく、このグループの電動車経験の長さを実感した。

メーター内のバッテリー残量を示すイラスト(写真は停車時のもの)。
メーター内のバッテリー残量を示すイラスト(写真は停車時のもの)。    平井大介

面白かったのはメーター内のバッテリー残量を示すイラストで、加速時はブルー、回生ブレーキではイエローで、前輪が仕事をしていることを示す。ちょっとクスッとさせる、こういう演出はフランスならでは。そしてパドルを弾くと、Dレンジの脇にレベルを示す矢印が追加されていく。

フローティングしたメーターパネル、助手席側から橋を架けるように後方に渡したセンターコンソール、8 色から選べるアンビエントライトの絶妙な色調などが織りなす、おしゃれな空間に身を置きながらのクルージングには、急加速では3気筒の唸りが気になることもあるハイブリッドより、こちらのほうが似合っていると思った。

ハイブリッドそれより、はっきり上級

ハンドリングはやはり前輪駆動っぽさがなくなって、ニュートラルに近づいた。かつての205や306あたりが備えていた挙動を取り戻したような感じもした。乗り心地は重量増のためだろう、かなり重厚になった。

直前に乗ったDS No8と比べると、タイヤの硬さが目立つようなことはなく、固めながらしっとりした、プジョーっぽい乗り味が体感できた。シートも固めであるが、サポートがしっかりしていて、アルカンターラのおかげで滑りにくい。これもプジョーらしい配慮だ。

E-3008の走りは、ハイブリッドのそれより、はっきり上級だと感じられた。
E-3008の走りは、ハイブリッドのそれより、はっきり上級だと感じられた。    平井大介

E-3008の走りは、ハイブリッドのそれより、はっきり上級だと感じた。それでいて気になる価格は760万円で、国のCEV補助金を使えば、ハイブリッドの同グレードとの差は100万円以内になる。

自治体によってはさらなる補助金も用意されるので、充電設備が用意できるユーザーなら、十分比較対象になるだろう。パワー・オブ・チョイスの思想は今も生きていることを実感した。

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事