タイプR登場も期待! ホンダの小型EV『スーパーワン』が受注1万1000台突破 開発者が作りたいように作ったファンなスポーツカー

公開 : 2026.06.22 11:45

いい意味でおもちゃ感

最高出力は通常はN-ONE e:と同じ47kW(64ps)だが、ブーストモードにすることで、70kW(90ps)まで向上。また、スポーツとブーストでは、仮想有段シフト制御が入り、ブーストではアクティブサウンドコントロールが作動する。

こういったギミックを活用しながら走るワインディングは、率直に楽しいと思わせるものだ。いい意味でおもちゃ感があり、峠の麓に住んで休日に走りにいくという使い方は最高かもしれない。筆者は静岡県東部の箱根の頂上まで小一時間という場所に住んでおり、「これは欲しいかも……」という思いがじわじわと湧いてきた。

最高出力はN-ONE e:と同じ47kWだが、ブーストモードにすることで、70kWまで向上する。
最高出力はN-ONE e:と同じ47kWだが、ブーストモードにすることで、70kWまで向上する。    平井大介

ちなみに航続距離はWLTCモードのカタログスペックで274kmとなり、ブーストモードを多用すれば距離は短くなるだろうから、『遊び場』まで近いことが前提だろう。自宅に充電環境も欲しいところだ。

サウンドコントロールは正直、音量と音圧が物足りなく感じた。エンジニア氏に聞くと社内でもかなり議論があったが、既存のシステムを使うことが前提となり、それ以上はコストアップに繋がるため断念。

4気筒らしい音色を参考にしながらゼロから作ったサウンドは、もっと軽快にすると速さに対し音だけ先に行く感じになり、比較的低音の現状に落ち着いたという。ちなみにゲームのスーパーマリオのような音も候補にはあったが、「結局ガチな方向になりました」とエンジニア氏。

また、峠を走るならもっと回生ブレーキが強くてもいい気がしたが、これもブレーキランプと連動が必要な法規の問題があり見送られた。

タイプRを作りましょう!

今回の開発は、まずテストカーを暫定で作りそれに役員を乗せ、クルマ自体の面白さをアピール。その役員からは『ホンダはこういうものを作るべき』という反応があり、スーパーワン誕生へ繋がった。

つまり、現場主導の本当に作りたかったモデルが、このスーパーワンというスポーツカーなのだ。まさかこんなに売れるとは思っていなかったらしく、他の軽自動車と混流している鈴鹿工場は増産に追われているという。

現場主導の本当に作りたかったモデルが、このスーパーワンというスポーツカーだ。
現場主導の本当に作りたかったモデルが、このスーパーワンというスポーツカーだ。    平井大介

言葉を選ばずに書けば、こういう商売っ気が足りない部分は、いかにもホンダっぽいと思う。これは大なり小なり他のホンダ車からも感じることで、それはファンとしては好ましいかもしれないが、ビジネス視点ではちょっと心配になることもある。

なお前出のエンジニア氏は、他にもハイパワー化、LSDを入れるなど、状況が許すならばやりたいことはあるそうで、筆者は「ならばタイプRを作りましょう!」と提案してきた。

『ホンダ・スーパーワン・タイプR』。白いボディに赤いインテリア、パドルはアルミ削り出しで……。現実的ではないがそんな期待もしたくなるほど、スーパーワンは魅力的な1台なのであった。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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