フルモデルチェンジした新型『日産キックス』 価格だけに留まらない商品力に見えた「本気」 復活の狼煙となるか?

公開 : 2026.07.13 10:00

車幅が掴みやすい

インテリアは、12.3インチのディスプレイをふたつつなげた横長のインターフェイスで日産らしさを出しつつ、その下にファブリックを張ったり、人工皮革の部分に2色のステッチを入れたりして、リラックスできる空間に仕上げている。

もうひとつ気が付いたのは、車幅が掴みやすいこと。アメフトフェイスの恩恵で、エンジンフードが水平に近くなったうえに、左右が盛り上がっているので、実寸以上に取り回ししやすかった。

インテリアは、12.3インチのディスプレイをふたつつなげた横長のインターフェイス。
インテリアは、12.3インチのディスプレイをふたつつなげた横長のインターフェイス。    平井大介

シートはGが人工皮革、Xがファブリックで、後者のほうが座り心地がしっとりしていた。身長170cmの自分にとっては十分な空間を持つリアは、着座感がフロントより明確にソフトで、家族や友人に喜ばれそうだ。

気になる走りはまず、加速や巡航の静かさと滑らかさに感心した。

1.4L直列4気筒エンジンは発電専用ということで、ロングストローク&高圧縮比化。そもそも市街地ではエンジンが回ることが少ないうえに、たとえ始動しても低回転をキープし、遮音も優れているので、ほとんど電動で走っているような感じだ。

ロードノイズが大きくなる荒い路面で積極的にエンジンを掛ける『こっそり発電』も、静かに感じる理由のひとつだろう。さらにe-4ORSEでは、加減速での前後の揺れも抑えてくれる。このあたりのきめ細かい制御は、電動化ならではだ。

ちょっと前のルノーを思わせる

Gグレードはこのクラスでは大径の19インチホイール/タイヤを履くが、剛性感に定評のあるCMF-Bプラットフォームのおかげでうまく履きこなしている。同じ組み合わせのルノー・キャプチャーより穏やかだ。そんな具合なので17インチのXグレードは、さらにしっとりしていて、ちょっと前のルノーを思わせた。

ハンドリングはGの前輪駆動は自然な感触。19インチではあるが唐突感とは無縁だ。一方のe-4ORSEは、舗装路のコーナーを一般的なペースで走っていても、立ち上がりでリアが路面を蹴っていることが伝わってくる。

こちらは『X』のe-4ORCE。作動の様子をカラーのイラストで表示する機能が加わった。
こちらは『X』のe-4ORCE。作動の様子をカラーのイラストで表示する機能が加わった。    平井大介

しかも新型ではメーターに、作動の様子をカラーのイラストで表示する機能が加わった。仕組みがわかりにくかったというユーザーの声を受けたもので、これまでの日産車とはちょっと違うアプローチもまた印象的だった。

ところで新型キックス、生産が先代のタイから日本の追浜に移ったこともニュースだ。確かに追浜工場は売却が決まっているけれど、日本向けは日本で作るという決定からも日産の本気を感じるし、その仕上がりは復活の狼煙になり得るものだった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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