8.5mのボディに並んだドア8枚 AQC ジェットウェイ707(2) 長すぎて駐車場から出られる気がしない 博物館の目玉コレクション

公開 : 2026.08.09 17:50

駐車場から外に出られる気がしない長さ

ボンネットは恐ろしく重く、無骨な姿の7.5L V8エンジンの右側には、巧妙に設計されたATとデフがちらっと見える。オルタネーターも驚くほど大きい。ヘッドライトにはカバーが備わるが、閉じないらしい。

ダッシュボードは、トロネードのもの。これまでに追加された、メーターやスイッチが点在する。本来はベンチのフロントシートは、壊れて異なるシートが据えられている。

AQC ジェットウェイ707(1968〜1970年/オールズモビル・ベース)
AQC ジェットウェイ707(1968〜1970年/オールズモビル・ベース)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

余りの長さで、駐車場から外に出られる気はしない。フロントタイヤは空転することなく、滑らかに粛々と加速し、時折ノッキング音が鳴る。予想通り、まったく小回りは効かない。後ろを振り返っても、ボディの終りがわからない。

シートがきれいに並び、移動式シアターには使えるかもしれない。鬼才デザイナー、ジョージ・バリス氏が描いた突飛なカスタムカーのようでもある。博物館の外を走っていたら、誰もが2度見するはず。こんなクルマが実在したことが、不思議とうれしい。

協力:マン島モーター博物館

番外編:奇抜なトロネードの生まれ変わり

デ・エレガンス・リムジン

実業家のマーヴィン・ホワイトマン氏が、デザイナーのジョージ・バリス氏へ依頼したワンオフ・リムジン。ホイールベースを約910mm延長し、ツートーンのビニールルーフが与えられている。豪華な車内には、カクテルキャビネットにテレビも備わる。

マニックス・ロードスター

TVドラマ「マニックス」で主人公が乗ったオープンカーで、これもバリスの仕事。ボディ前後が改められ、車載電話が備わる。名探偵のクルマとしては、少々派手すぎたが。

ピンク・パンサー・カー

ピンク・パンサー・カー(オールズモビル・トロネード・ベースのワンオフモデル)
ピンク・パンサー・カー(オールズモビル・トロネード・ベースのワンオフモデル)

映画シリーズの「ピンク・パンサー」に登場する、猫のキャラクターの専用車。ボディはスチール製で、カリフォルニア・ショー・カーズ社によって製作された。

エッソ67-X

バリスが手掛けた、ワンオフ・クーペ。1967年のカナダ・モントリオール万国博覧会で開かれた、エッソ主催のコンテストへ向けて製作された。奇抜な賞品として。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーティン・バックリー

    Martin Buckley

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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