ブリヂストン次世代タイヤ『エアフリー』をタイヤの達人が深堀り(後編) 空気がなくて乗り心地は大丈夫? 気になるコンパウンド特性

公開 : 2026.07.29 17:10

使用するコンパウンドは?

もうひとつ、同乗試乗させてもらって感じたことがあります。それは、トレッドゴムコンパウンドに、空気入りタイヤのような柔らかさはいらない、ということです。

ちょっと誤解を招きそうな言い回しになってしまいますが、空気入りタイヤと違ってソリッドゴム(中実ゴム)です。

耐千切れ性能が高く、ウエット性能にも優れた生ゴム(NR)の比率が高めか。
耐千切れ性能が高く、ウエット性能にも優れた生ゴム(NR)の比率が高めか。    斎藤聡

もちろんゴムの材料構成によって、柔軟性の高いものから弾性の高いものまで、さまざまな種類が考えられますが、今回採用になったエアフリーのトレッドコンパウンドに限っていうと、転がり抵抗と耐摩耗性、それにあえて言えば耐千切れ性を重視したトレッドゴムであるように思います。

1枚のソリッドゴムなので、空気入りタイヤのようにタイヤが変形して力を逃がすことができないため、交差点など低速でハンドルを大きく切った場合、かなりトレッド面に力がかかるように見えます。

とはいえ、ぶら下がり取材のコメントから推察すると、たぶんそれほど特殊なコンパウンドを使っていないのではないかと思います。

とすると、耐千切れ性能が高く、またウエット性能にも優れた生ゴム(NR)の比率が高く、またゴムの強度(弾性)を高める目的でカーボンブラックを相当量配合しているのかな、などと想像を巡らせてしまいます。

想像以上に早かった実用化

今回いよいよ社会実装となったエアフリーは、使用する気象条件や、モビリティの種類などによって、様々な仕様を作ることができるのだと思います。

例えば、福井の電気バス型車両(スローモビリティ)では、降雪時の性能もある程度考慮されているのかもしれません。当然、コンパウンドの配合も、低温特性と耐磨耗性のテストも組み込まれているのかもしれません。

路面の悪さを拾って点灯するワーニングが、空気入りタイヤの時と比べて半減したという。
路面の悪さを拾って点灯するワーニングが、空気入りタイヤの時と比べて半減したという。    斎藤聡

話が飛躍してしまいましたが、今回社会実装された奥永源寺けい流カーに同乗試乗して感じたのは、想像以上に実用化が早かったということです。

エアフリーにより、メンテナンスフリーとサスティナビリティを掲げた『持続可能な地域交通の実現』という目標は達成したといってもいいのではないかと思います。この後も、地域の環境や使用するモビリティに合わせたエアフリーの社会実装が広がっていくことが期待できます。

個人的には、小平市で実証実験を行っている軽自動車用エアフリーが気になります。ブリヂストンによれば、いつとは明言しなかったものの、そう遠くないタイミングで、より詳しい取材ができそうですので、併せてお楽しみに。

記事に関わった人々

  • 執筆

    斎藤聡

    1961年生まれ。学生時代に自動車雑誌アルバイト漬けの毎日を過ごしたのち、自動車雑誌編集部を経てモータージャーナリストとして独立。クルマを操ることの面白さを知り、以来研鑽の日々。守備範囲はEVから1000馬力オーバーのチューニングカーまで。クルマを走らせるうちにタイヤの重要性を痛感。積極的にタイヤの試乗を行っている。その一方、某メーカー系ドライビングスクールインストラクターとしての経験は都合30年ほど。

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