BYD初の軽自動車『ラッコ』は年内1万台販売を目指す 軽自動車を研究し日本向けにゼロから開発 関係者のコメントを元に深掘り!【画像200枚】

公開 : 2026.07.29 11:45

BYDが仕向け地専用にクルマを開発したのは初めて

また、BYDが仕向け地専用にクルマを開発したのは、このラッコが初めてだという。それは、軽自動車は単なるクルマではなく日本の文化であり、日本社会が求めているものだから。

開発は全て中国で行われ、日本のあらゆる道はもちろん、スーパーマーケットの駐車場など様々なシチュエーションを調べ、クレイモデルをBAJのスタッフや販売店にも見せて検討を重ねた。

BYDが仕向け地専用にクルマを開発したのは、このラッコが初めてだ。
BYDが仕向け地専用にクルマを開発したのは、このラッコが初めてだ。    平井大介

スタイルはいわゆるスーパーハイトワゴンそのもので、奇をてらったデザインにしなかったのは、使い勝手や安全性を追求した結果であるという。保温機能付きカップホルダーや後席の傘収納ストラップなどは、日本市場をリサーチしての装備。

運転のしやすさ、街でも郊外でも、毎日便利に、広い荷室、豊富な収納など、日本の軽自動車を研究し日本のためにゼロから開発された軽乗用車、それがラッコなのだ。

専用に新設計された統合型EV技術『Xパックアーキテクチャ』

ラッコの技術的なエポックはやはり、専用に新設計された統合型EV技術『Xパックアーキテクチャ』だろう。

BYDはモーター、インバーター、減速機など、EVの駆動に必要な主要部品8つを一体化したシステム『8 in 1』を多くのモデルで採用しているが、ボディの小さな軽自動車ではスペース的に困難。

ラッコ専用に新設計された統合型EV技術、『Xパックアーキテクチャ』。
ラッコ専用に新設計された統合型EV技術、『Xパックアーキテクチャ』。    BYD

そこでモーターと減速機はボンネット内に収め、BYD得意のブレードバッテリーに電子制御ユニットやコントローラー類を統合することで、ボンネット内にクラッシャブルゾーンを確保。室内も床下にバッテリーを収めるEVとしては十分な広さ(特に室内高)を実現している。Xパックは、バッテリーを自社生産しているBYDならではの技術なのだ。

これはラッコで初採用された技術だが、今後は新たな小型車に採用される可能性は高い。欧州ではスーパーハイトワゴンのようなスタイルのクルマやスライドドアの要求は低いため、ラッコをそのまま販売することは考えにくいが、このアーキテクチャを利用したAセグメントのコンパクトEVが、比較的近い将来に登場するかもしれない。

年内に受注ベースで1万台を目指す

BAJとしては、販売開始から年内に受注ベースで1万台を目指しているが、各販売店で月に20台販売すれば1年間で1万2000台に達するから、決して不可能な数値ではないとしている。

年間で約130万台販売される軽自動車の中で1万台という台数はたいした数字ではない。しかし日本メーカーに刺激を与え、軽自動車やEVを検討していない人にも興味を持ってもらうことは、結果的に経済活性化にもつながるだろう。

左から劉学亮BYD副総裁/BAJ会長、広瀬アリスさん、東福寺厚樹BAJ社長。
左から劉学亮BYD副総裁/BAJ会長、広瀬アリスさん、東福寺厚樹BAJ社長。    平井大介

デリバリーやサービス体制には問題ないとし、BAJではこのラッコをきっかけに、BYDブランドの浸透を目指していくことを目指している。

BYDラッコ300プレミアムのスペック

全長×全幅×全高:3395×1475×1800mm
ホイールベース:2520mm
車両重量:1230kg
モーター:交流同期電動機
最高出力:47kW(64ps)
最大トルク:160Nm
バッテリー総電力量:35.84kWh
WLTCモード航続距離:320km
駆動方式:FWD
タイヤサイズ:165/65R15
価格:249万7000円

BYDラッコ300プレミア
BYDラッコ300プレミア    平井大介

記事に関わった人々

  • 執筆

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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