サイレン鳴らせば一層速い? ポンティアック・メンフィアン救急車(2) 豪華な内装に活発な加速 救命機材は実質ゼロ
公開 : 2026.09.26 17:50
1950年代の北米で活躍した、コーチビルダーによるメンフィアン救急車。実際は担架を積めるシンプルなワゴンでした。ベースはV8エンジンのポンティアックです。UK編集部が貴重な1台をご紹介します。
災害警報にも利用できそうな音量のサイレン
1955年式の真っ赤なポンティアック・メンフィアン救急車は、2025年のカリフォルニア州パームスプリングスで開かれたオークション・イベントで、UK編集部が発見したもの。2万1500ドルでの入札はあったが、落札には至っていない。
ベースとなったポンティアックのステーションワゴン、スターチーフ・カスタム・サファリは、シボレー・ノマドの兄弟車。コンバージョンを前提に、コーチビルダーのメンフィス・コーチ社は、ベーシックな仕様を選んだに違いない。

一部のマニアなら、フロントフェンダー上の巨大なサイレンだけでも、所有する価値を見出すかもしれない。フェデラル・シグナル社製で、災害警報にも利用できそうなほど、凄まじいボリュームで鳴る。近くで長時間聞けば、耳を傷めるだろう。
ルーフには、巨大な回転灯が載る。サイドウインドウは、ストライプ状に目隠し加工され、テールゲートは観音開き。両サイドのリアドアは延長され、乗降性が改善されている。エンジンルームは巨大で、整備性も良さそうだ。
救急車としてはかなり豪華な内装
フロントガラスがサイドに湾曲し、フレームの下部が角ばっており、乗り込む際に膝をぶつけがち。フロントシート側は、スターチーフ・カスタム・サファリと同じ、巨大なステアリングホイール。ベンチシートもポンティアックのままだ。
ダッシュボード上の速度計は、時速120マイル(約193km/h)まで。バッテリー電圧や水温、燃料、油圧を知らせる補助メーターが並ぶ。走行距離は、約10万8000kmと長くはない。恐らく、現役時代の搬送で稼いだ距離だろう。

メッキで飾られたメーターパネルの右側には、サイレンやパトライトのスイッチ。後席側には、ストレッチャーと付添人が座る補助席が2席。車内を覆う真っ赤なベロアと真っ白なビニールクロスは、状態を見る限り新しく、オリジナルではないようだ。
救急車として、内装はかなり豪華。救命道具は備わらず、単なる移動手段といえるが。
発進から非常に活発な救急車
ボディサイドには、パームスプリングス消防・救急隊のロゴが入る。これは、現オーナーが洒落で入れたもの。今の彼は、カリフォルニア州のサンノゼに暮らしている。
発進させると、メンフィアン救急車は非常に活発。ボディは歴然と長いが、運転は想像以上に面白い。出だしの加速は鋭く、3速のトップギアでも余裕をもって速度調整できる。サイレンを鳴らせば、一層速くなったような気がする。

ストラト・ストリーク V8エンジンは、今でもパワフル。3速MTとの相性も良い。コラムから伸びるシフトレバーは、カシっと正確に動くわけではない。問題なく変速できるものの、当時の9割のポンティアック・オーナーがATを選んだ理由を理解できる。
パワーステアリングはないが、ロックトゥロックが10回転近いほど、レシオはスロー。速度域が低くても、重くはない。遠くに見える、並木道を歩く人がサイレンで振り返る。赤色灯は、今でもしっかり閃光を放つ。










































































































































