トヨタbz4Xと共同開発された『スバル・ソルテラ』 開発責任者が感じた両社における思想の違いとは 起源は自動織機と飛行機にあり

公開 : 2026.08.22 11:45

企業としての成り立ちとそこからくる企業思想の違い

井上さんはトヨタとの比較において、どちらが良い悪いではなく、企業としての成り立ちとそこからくる企業思想の違いを語ってくれた。

スバルは『開発完了』が最大限尊重されます。完了したらそのクルマを効率よく生産してくださいというプロセスに続くんです。ですから開発完了するのが技術本部の使命で、それである意味、開発は終わったようなものです。

ソルテラは少し都会的な方向になり、ボディ同色のクラッディング(樹脂パーツ)になっている。
ソルテラは少し都会的な方向になり、ボディ同色のクラッディング(樹脂パーツ)になっている。    内田俊一

一方でトヨタは、生産を開始できたら時点で開発が終わります。生産を開始するまでは設計変更も厭わず、最後まで改善を繰り返す。(豊田佐吉が1924年に発明、完成した)自動織機の時代から、織機が準備できたらどんどん流して、悪いところを改善して、良い製品になったら量産でお客様に出していきました。

(中島飛行機のDNAを持つ)スバルは、開発が完了したらその飛行機は飛ばします。(生死に関わるから)墜落しないように開発してあります、という考え方です。ですから、開発が完了したクルマを製造側で変更することは許されません。そこで変更すると、飛行機だったら墜落する可能性が出てきますから」

辛口カレーか甘口カレーか

そして井上さんは、「辛口カレーか甘口カレーか、どっちが良いカレーかは、お客様が自分の好みで決めて頂ければいいんです。どちらも良いクルマですから」とまとめてくれた。

違う成り立ちのメーカー同士が共同開発すると様々な軋轢が生まれてきそうだが、井上さんはトヨタ86とスバルBRZでの経験もあり、今回もどちらの思想も理解したうえで見事な開発ができたのだろう。さて、次はどういうクルマが出て来るのか、それぞれの思想を思い浮かべながら楽しみに待ちたい。

「辛口カレーか甘口カレーか、どっちが良いカレーかは、お客様が自分の好みで決めて頂ければいいんです」
「辛口カレーか甘口カレーか、どっちが良いカレーかは、お客様が自分の好みで決めて頂ければいいんです」    内田俊一

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    Shunichi Uchida

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

関連テーマ

おすすめ記事

 

Google検索で『AUTOCAR JAPAN』の記事を見つけやすくする方法

人気記事