ブガッティ・シロン超えの1606ps 『デンツァ Z レーシング』 BYDの上級銘柄によるフラッグシップEV 意識したのはポルシェ911

公開 : 2026.09.15 18:05

速度上昇は圧巻でも敏捷性は今ひとつ

時間が限られ、車内は充分に観察できなかったものの、シートはソフトで快適な反面、サイドサポートが不足気味。座面は、もう少し低い方が望ましい。お値段を踏まえると、プラスティック製部品が多いながら、安普請ということもなかった。

グッドウッドは全開にできる区間が限られ、1600馬力超えの実力を探るのに、1周はどこにも足りない。それでも、パワーデリバリーは感心するほどスムーズ。同時にレスポンスは、多くの1000馬力級のEVで体感する、一貫したリニアさとも異なる。

デンツァ Z レーシング(欧州仕様)
デンツァ Z レーシング(欧州仕様)

速度上昇は圧巻ながら、タイヤがトラクションを充分発揮できなかったのか、トルクは段階的に高まっていく印象だった。電子制御の介入も、原因かもしれない。

3基のモーターは抑制されたような感覚を伴い、スポーツカーの基準では敏捷性は今ひとつ。旋回に対する意欲性は、更に高めていいだろう。パワーオンによるライン調整や、積極的な身のこなしを得意とはしないように思えた。

絶対的な速さ以外の訴求力は未知数

正直なところ、期待超えの体験ではなかったといえる。しかし、より長い時間が与えられ、監視の目がなければ、秘めた多くの魅力に迫れていた可能性はある。当たり障りのない運転体験、という以上の評価に至っただろう。

パワーは有り余るほどながら、エンターテインメント性豊かな、誰もが没入できるドライバーズカーと呼べるだろうか。絶対的な速さ以外の訴求力は、未知数といえる。

デンツァ Z レーシング(欧州仕様)
デンツァ Z レーシング(欧州仕様)

擬似的なエンジン音も、走行中は再生される。ステアリングホイール裏に、パドルシフトも備わる。それらの完成度も、次の機会があるなら改めて探ってみたい。

デンツァ Z レーシング(欧州仕様)のスペック

英国価格:17万2900ポンド(約3717万円)
全長:4870mm
全幅:1990mm
全高:1350mm
最高速度:349km/h
0-100km/h加速:1.96秒
航続距離:379km
電費:4.9km/kWh(予想)
CO2排出量:−g/km
車両重量:2250kg
パワートレイン:トリプル永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:96.0kWh
急速充電能力:−kW(DC)
最高出力:1606ps
最大トルク:126.2kg-m
ギアボックス:1速リダクション/四輪駆動

デンツァ Z レーシング(欧州仕様)
デンツァ Z レーシング(欧州仕様)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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