スタイルは優雅、中身はストイック フェラーリの2+クーペ『アマルフィ』は単なるエントリーモデルに非ず【スーパーカー超王が斬る】

公開 : 2026.09.22 11:45

まさにグランツーリスモのような感覚

アマルフィで選択できるドライブモードはウエット、コンフォート、スポーツ、レース、ESCオフ。市街地や高速道路をリラックスしてクルージングするにはもちろんコンフォートがベストで、まさにグランツーリスモのような感覚で優雅な時間を過ぎすことができる。

高速道路上でドライブモードをスポーツへと変更し、そのままワインディングロードを目指す。その瞬間に驚かされるのはアクセルペダルの微妙な動きに対してもエンジンレスポンスがさらなる鋭さを増すことで、ここでレブリミットまでの加速を試してみると、+2クーペとはいえそれはやはりフェラーリの血統を受け継ぐモデルであるのだということを瞬時に思い知らされることになる。

3.9L V8ツインターボは最高出力640ps、最大トルク760Nmというスペック。
3.9L V8ツインターボは最高出力640ps、最大トルク760Nmというスペック。    佐藤亮太

パドルを使ったマニュアルシフトを繰り返せば、そのドライビングの楽しさはさらに高まる。フェラーリ自身がゼロラグコンセプトと呼ぶ、ほとんどターボラグを感じさせない独自エンジニアリングと、選択したギアに合わせてトルクカーブを最適化するバリアブルブーストマネジメントが、感動的なまでに素晴らしい仕事を行っているのだ。

ストイックなまでのエンジニアリングへのこだわり

ドライサンプの潤滑方式を採用し重心低下を図り、さらにエンジンをフロントミドシップするアマルフィは、コーナリングでも完璧といえる動きを見せる。

ワインディングでもボディの大きさを感じさせないのは、マグネライドサスペンションシステムを持つサスペンションと、正確無比なステアリング、そして絶対的な安心感と自然なフィールに徹するカーボンセラミックブレーキが常にベストに機能し、いわゆるマンマシンの一体感を最高のレベルで生み出しているからにほかならない。

アマルフィは、日常的な使用にも抵抗なく使うことができる。
アマルフィは、日常的な使用にも抵抗なく使うことができる。    佐藤亮太

もちろんさらにそのエンジニアリングを検証するのならば、アルミニウム製スペースフレームに、さらに軽量な素材を組み合わせ高剛性な基本構造体を完成させたこと、あるいは重量配分の最適化などに、その根本的な理由はある。

フェラーリのストイックなまでのエンジニアリングへのこだわりは、その優雅なスタイルからは想像できないほどなのだ。

最後に日常的な使用にも抵抗なく使うことができる、アマルフィの実用性について触れておこう。2+と称されるだけに、アマルフィには2名分のリアシートが備わるが、これは実際には短時間の移動用、もしくはラゲッジルームと考えるべきだろう。

リアトランクとのスルー機構を持つのは試乗中に気づいた意外な発見で、それを考え合わせれば、ドライバーとパッセンジャーのふたりで短期間の旅行といったシチュエーションには十分に使えるレベルだ。

自動緊急ブレーキやレーンキーピングアシストなど、現代が要求する最新世代の運転支援システム(ADAS)も、もちろんこのアマルフィでは万全の備え。アマルフィはただ単にフェラーリのエントリーモデルとして語られるモデルではない。それを確信した今回のドライブだった。

撮影協力:東京国際交流館

記事に関わった人々

  • 執筆

    山崎元裕

    Motohiro Yamazaki

    1963年生まれ。青山学院大学卒。自動車雑誌編集部を経て、モータージャーナリストとして独立。「スーパーカー大王(超王)」の異名を持つ。フツーのモータージャーナリストとして試乗記事を多く自動車雑誌、自動車ウェブ媒体に寄稿する。特にスーパーカーに関する記事は得意。
  • 撮影

    佐藤亮太

    Ryota Sato

    1980年生まれ。出版社・制作会社で編集経験を積んだのち、クルマ撮影の楽しさに魅了され独学で撮影技術を習得。2015年に独立し、ロケやスタジオ、レース等ジャンルを問わない撮影を信条とする。現在はスーパーカーブランドをはじめとする自動車メーカーのオフィシャル撮影や、広告・web・雑誌の表紙を飾る写真など、様々な媒体向けに撮影。ライフワークとしてハッセルブラッドを使い、生涯のテーマとしてクラシックカーを撮影し続けている。佐藤亮太公式HPhttps://photoroom-sakkas.jp/ 日本写真家協会(JPS)会員
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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