電動化の未来を本気で問う ノイエクラッセ『BMW iX3』が示すデジタル時代のアナログドライブ(後編) ドイツ車らしいロジカルなアプローチ

公開 : 2026.09.29 11:50

BMWの次世代コンセプト『ノイエクラッセ』、その第1弾モデルとなるのが『BMW iX3』です。『i』の名が付くとおり、プレミアムコンパクトSUV『X3』級のEVとなります。編集部ヒライが実車を取材しました。

通常のメーターパネルは廃止

BMWの次世代コンセプト『ノイエクラッセ』、その第1弾モデルが『BMW iX3』だ。『i』の名が付くとおり、プレミアムコンパクトSUV(BMW流に書くならSAV)である『X3』級のEV。その取材レポート後編となる。

コクピットまわりも新たな情報が多い。

BMWの次世代コンセプト『ノイエクラッセ』、その第1弾モデルとなる『BMW iX3』を取材。
BMWの次世代コンセプト『ノイエクラッセ』、その第1弾モデルとなる『BMW iX3』を取材。    平井大介

まず、フロントウィンドウの下で左右に伸びるのが、43.3インチの『BMWパノラミックビジョン』で、通常のメーターパネルは廃止された。表示内容はカスタマイズが可能で、速度、シフトポジション、充電状態、航続距離といったメインの情報以外にも、外気温などが選べる。

17.5度ドライバー側に傾けられる17.9インチのセンターディスプレイは、車両のほぼ全ての機能をタッチ操作することが可能だ。ちなみに右方向へ傾いた長方形となっているが、これはちゃんとコストをかけて右ハンドル用になっている。ドイツなどで販売する左ハンドルは、左方向へ傾いた長方形だ。

これらを総称した『BMWパノラミックiドライブ』を動かすソフトウェアは『オペレーティングシステムX』と呼ばれ、デジタルキーあるいは物理キーと連動しドライバーひとりひとりに最適化された環境を提供するなど、多くの機能を実現している。

残念ながらそのほとんどを試す時間はなかったものの、例えば、周囲で動くものを車両だけでなく人物まで表示するのには驚いた。

気になる価格は、『iX3 50 xドライブ』が982万円、同『Mスポーツ』が1034万円となる。これはX3が767~1021万円となるため、一部がオーバーラップする設定だ。

どこが美味しいかポイントを掴み切れず

今回はほんの一部ではあるが、iX3=ノイエクラッセの新しさは垣間見ることができた。しかし機能もフィーリングも慣れるのには時間がかかりそうだし、今回の短時間取材では、乗っていてどこが美味しいのかポイントを掴み切れなかったのが正直なところだ。

130km/hまでの速度域で可能となる『ハイウェイアシスト』による『ハンズオフ運転支援機能』が搭載されたら(年内を予定)、もう一度しっかりと取材してみたいと思っている。

今回の取材では、乗っていてどこが美味しいのかポイントを掴み切れなかったのが正直なところだ。
今回の取材では、乗っていてどこが美味しいのかポイントを掴み切れなかったのが正直なところだ。    平井大介

さて、冒頭で書いた『新たな乗り物としてノイエクラッセを構築した』という結論を補足するため、BMWがiX3で唱えている『デジタル時代のアナログドライブ』という言葉を記しておきたい。

つまりそのほとんどはデジタル化されているが、その中でアナログ的フィーリング、つまりこれまでの自動車らしさ、BMWらしい『走る歓び』を表現しているというわけだ。このロジカルなアプローチは、実にドイツ車らしいと言えるだろう。

どうやっても、例えばE30型BMW M3をドライブする楽しさの再現は不可能だと思う。しかし、その時に乗り手が感じた歓びと同じ種類の感情を与えることは、もしかしたら可能かもしれない。

BMWは5世代に渡るEVテクノロジーで研鑽を重ね、第6世代を組み合わせた『ノイエクラッセ=ニュー・シリーズ』で電動化時代の未来を本気で問うている。これは極端な書き方を敢えてするならば、『自動車』存亡をかけたBMWの大いなる挑戦、その第一歩と捉えていいだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

BMW iX3が示すデジタル時代のアナログドライブの前後関係

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