ノイエクラッセ『BMW iX3』が示すデジタル時代のアナログドライブ(前編) 10年以上に渡るEV経験を元に、新たな乗り物として構築

公開 : 2026.09.29 11:45

BMWの次世代コンセプト『ノイエクラッセ』、その第1弾モデルとなるのが『BMW iX3』です。『i』の名が付くとおり、プレミアムコンパクトSUV『X3』級のEVとなります。編集部ヒライが実車を取材しました。

1960年代のミドルクラスに与えられた総称

BMWの次世代コンセプト『ノイエクラッセ』、その第1弾モデルが『BMW iX3』だ。『i』の名が付くとおり、プレミアムコンパクトSUV(BMW流に書くならSAV)である『X3』級のEVとなる。

ノイエクラッセを英語にすると『ニュー・クラス』。これは1960年代に生産されたミドルクラスの1500や02シリーズに与えられた総称で、そのネーミングを新たな考え方で作られたEVたちに受け継がせた形だ。

BMWの次世代コンセプト『ノイエクラッセ』、その第1弾モデルとなる『BMW iX3』を取材。
BMWの次世代コンセプト『ノイエクラッセ』、その第1弾モデルとなる『BMW iX3』を取材。    平井大介

……これをわざわざ記したのは、iX3がまさに新時代のEVらしい1台だと感じたから。

BMWは2013年に『i3』と『i8』で日産リーフらと共にEV先駆者となり、10年以上に渡る販売経験を元に『新たな乗り物としてノイエクラッセを構築した』というのが、今回取材して得た結論だ。

全てを説明するにはあまりに情報が膨大なため、いくつかポイントを絞ってまとめたい。

最大320kWの高速充電に対応

まず、『Gen6』(ジェンシックス)と呼ばれる第6世代(!)となる『BMW eテクノロジー』を採用し、BMW初となる800Vバッテリーで最大320kWの高速充電に対応する。

日本国内では9月14日、東名高速道路の海老名サービスエリアに国内初となる350kWの超高速充電器が設置されたが、これを使用すると15分で10%から63%までの充電が可能だ。これは最大約420kmもの航続距離に相当するという。

ボディサイズは全長4780mm、全幅1895mm、全高1635mmと、意外に背が低い印象。
ボディサイズは全長4780mm、全幅1895mm、全高1635mmと、意外に背が低い印象。    平井大介

航続距離のカタログ値はWLTCモードで906km、今回の取材車であるMスポーツでも835kmとなる。ポイントは、これを空力的に不利のSUVで実現したこと。Cd値は0.24だ。

ボディサイズは全長4780mm、全幅1895mm、全高1635mm、ホイールベース2895mmで、実車の印象は『意外と背が低い』というもの。実はX3が全長4735mm、全幅1920mm、全高1660mm、ホイールベース2865mmとなるため、だいぶ小さく伸びやかに見える。

縦型で小さいキドニーグリルなど、フロントフェイスは往年のノイエクラッセを現代に解釈した。さらに新デザインのBMWロゴとなり、これは他のモデルにも順次採用となる。

ハート・オブ・ジョイと呼ばれるスーパーコンピューター

iX3は、4つのスーパーコンピューターを搭載する。具体的には自動運転、インフォテイメント、ベーシック&コンフォート、そして『ハート・オブ・ジョイ』(以下HOJ)と呼ばれるドライビングダイナミクス向けからなる、4つのブレインだ。

これらをエリアに分けて配置することで、ハーネスは実に600m(!)短くなり、重量も約30%低減した。

ブレーキ操作の98%で摩擦ブレーキを一切使用せず、回生エネルギーの制御で行う。
ブレーキ操作の98%で摩擦ブレーキを一切使用せず、回生エネルギーの制御で行う。    平井大介

自社開発されたHOJは、これまで別々に行っていたドライブトレイン、ブレーキ、エネルギー回生などを『人間のように統合制御』するものだ。その処理速度は従来の10倍となり、例えばブレーキ操作の98%で摩擦ブレーキを一切使用せず、回生エネルギーの制御で行う。

その停止方法は前後モーター制御によるもので、いわゆるカックンブレーキにならないという。「いつ止まったかわからないほどです」と事前に説明を受けたが、確かに停止の動きは自然なものだった。

回生ブレーキの強さは弱、中、強、アダプティブ(自動)と切り替えが可能だ。まずは推奨されたアダプティブで走ってみたところ、例えば、駐車場に入る下りの低速カーブで自動的に減速していったのに驚くなど、極端に書けば、筆者の運転よりも上手なのでは? と感じたほどだ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

BMW iX3が示すデジタル時代のアナログドライブの前後関係

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