エンジンは356用1.5L ポルシェ・タイプ597「ヤークトワーゲン」(1) 妥協許さぬ設計の過剰性能 水に浮かぶオフローダー
公開 : 2026.10.31 17:45
目を閉じればポルシェ初期のスポーツカーの印象
ステアリングホイールは巨大で、フロアヒンジで並ぶペダルは、中央寄りへオフセット。クラッチペダルは軽く、長いシフトレバーは曖昧でも滑らかに倒せる。シフトノブは356と同じで、目を閉じればポルシェ初期のスポーツカーの印象が再び重なる。
ホイールは16インチで、幅が3.5Jと僅かに広く、ブロックの大きいタイヤが巻かれている。トーションバーが支えるサスペンションはストロークが長く、乗り心地は想像より良い。ステアリングは重く、路面状況はふんだんに手のひらへ伝わる。

ポルシェの技術者は、1000rpmという低い回転数でも65%の急勾配を登れるよう、仕様を詰めている。オーバーハングは短く、パワーウエイトレシオは良好で、実際に悪路の走破性は相当に高い。ジープやランドローバーのように。
ヤークトワーゲンは、ドイツ郊外の一般道も大得意。少なくとも、雨や雪が降っていなければ、リラックスしてアスファルト上を流せる。ミニ・モークのように。
組み立ては550スパイダーと並行で
プロトタイプのボディは、初期の356用ボディも製造していた、ドイツのロイター社がプレス。組み立ては、ポルシェの工場で550スパイダーと並行して進められた。水に浮く能力を備えるものの、脱着可能なスクリューは、検討されたが採用されていない。
ボディの製造は、後にドイツ・カルマン社へ変更。強度を高めるため、スチール製パネルにはリブが追加されている。1955年1月に西ドイツ軍による試験走行が始まり、3月には関係者へ非公開で発表。英国軍やフランス軍にも、デモ走行は披露されている。

評価用のプロトタイプが、何台製造されたのか明らかではない。22台という説もあれば、50台という説もある。貴重なことに、間違いない。
この続きは、ポルシェ・タイプ597「ヤークトワーゲン」(2)にて。






















































































































































