稼ぎ頭で大勝負へ ポルシェ・カイエン・ターボ・エレクトリック(2) 圧倒的パワーでも圧巻の扱いやすさ もう少し欲しい持久力

公開 : 2026.11.05 18:10

お値段を踏まえると持久力はもう少し欲しい

カイエン・エレクトリックの現実的な航続距離は、Sで約480km、ターボで約420km。既に、若干物足りなく見え始めている。クラス的にはマカン・エレクトリックの競合ながら、BMW iX3やボルボEX60などは、1充電で800km前後と主張されるのだから。

オプション次第で16万ポンド(約3536万円)超えの英国価格を踏まえると、持久力はもう少し欲しいところ。もっとも、特にターボの場合は、動力性能やブランドイメージを重視する人が選ぶはずだが。

ポルシェ・カイエン・ターボ・エレクトリック(英国仕様)
ポルシェ・カイエン・ターボ・エレクトリック(英国仕様)

筆者なら、ベースグレードや1つ上のSを選ぶだろう。滅多に引き出せない馬力より、より長い航続距離を備えるカイエン・エレクトリックを、お手頃に購入できる。

未来を決める運命の分岐点かも

カイエン・エレクトリックは、ある面では一層カイエンらしいが、別の面ではらしさが薄れたように思える。極めて多能な魅力へ惹かれてきた従来のオーナーが、納得の仕上がりだと感じるのか興味深いが、それは販売数で示されるだろう。

1156psのターボは、グレートブリテン島の公道では、能力を存分に発揮することが難しい。フロア下の大きな駆動用バッテリーに、過剰といえるパワー。カイエンは、これまで通り様々な意見を巻き起こすことになりそうだ。

ポルシェ・カイエン・ターボ・エレクトリック(英国仕様)
ポルシェ・カイエン・ターボ・エレクトリック(英国仕様)

ポルシェは、稼ぎ頭のSUVで大きな勝負に出たといえる。速さも広さも、快適性も、不満がないことは間違いない。だが未来を決める、運命の分岐点になるかもしれない。

◯:ターボの圧倒的で極めてシームレスな動力性能 アクティブ・エアサスが叶える乗り心地と操縦性 広々とした車内空間と上質な内装 クーペの精悍な佇まい
△:ターボは特に高額 さほど長くない航続距離 タイカンほど完璧ではないポルシェ・アクティブライド ドラマチックさで先代には届かない

ポルシェ・カイエン・ターボ・エレクトリック(英国仕様)のスペック

英国価格:17万2423ポンド(約3586万円/試乗車)
全長:4985mm
全幅:1980mm
全高:1674mm
最高速度:260km/h
0-100km/h加速:2.5秒
航続距離:571km
電費:4.5km/kWh
CO2排出量:−g/km
車両重量:2645kg
パワートレイン:ツイン永久磁石同期モーター
駆動用バッテリー:108.0kWh
急速充電能力:400kW(DC)
最高出力:1156ps(ローンチコントロール時)
最大トルク:152.6kg-m
ギアボックス:1速リダクション/四輪駆動

ポルシェ・カイエン・ターボ・エレクトリック(英国仕様)
ポルシェ・カイエン・ターボ・エレクトリック(英国仕様)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    ヴィッキー・パロット

    Vicky Parrott

    2006年より自動車ジャーナリストとして活躍している。AUTOCARを含む複数の自動車専門誌で編集者を歴任した後、フリーランスとして活動を開始し、多くの媒体で執筆を続けている。得意分野はEV、ハイブリッド、お菓子。2020年からは欧州カー・オブ・ザ・イヤーの審査員も務める。1992年式のメルセデス・ベンツ300SL 24Vの誇り高きオーナーでもある。これまで運転した中で最高のクルマは、2008年のフォード・フィエスタSTとアルピーヌA110。どちらも別格だ。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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