F80、SF90とどう違う?フェラーリ849テスタロッサの立ち位置を確認【元専門誌編集長の視点】

公開 : 2025.09.10 12:25

フェラーリは9月10日、イタリアで『フェラーリ849テスタロッサ』と『849テスタロッサ・スパイダー』を発表。SF90ストラダーレ、同スパイダーの後継モデルとなります。元フェラーリ専門誌編集長である編集部ヒライの分析です。

SF90XXの生産が落ち着いたタイミング

フェラーリは9月10日、イタリアで『フェラーリ849テスタロッサ』および『フェラーリ849テスタロッサ・スパイダー』を発表した。SF90ストラダーレ、同スパイダーの後継モデルとなる。

SF90ストラダーレはフェラーリ初の量産プラグインハイブリッド(PHEV)として、2019年に登場した。限定車としてはラ フェラーリがフェラーリ初のPHEVとなるが、量産車としてはSF90が初となる。

フェラーリ849テスタロッサ(上)とF80(下)。
フェラーリ849テスタロッサ(上)とF80(下)。    フェラーリ

2020年にはSF90スパイダー、2023年にはサーキット走行に焦点を当てたハイスペックモデル、SF90XXストラダーレと同スパイダーも登場している。

今回の849テスタロッサは、SF90XXの生産が落ち着いたタイミングでの登場と考えれば自然なタイミングだ。車名こそ往年のテスタロッサが復活し、最近の12チリンドリやF80のイメージを踏襲しているが、実質はSF90のビッグマイナーチェンジ、後期モデルと言えそう。

なお、同じリアミドシップのため、第一印象は昨年デビューした少量生産モデルのF80と酷似して見えたが、こうして写真で並べるとかなり異なっていることがわかる。サイズで比較すると、以下のようにF80のほうが若干大きい。

フェラーリF80

全長×全幅×全高:4840×2060×1138mm
ホイールベース:2665mm

フェラーリ849テスタロッサ

全長×全幅×全高:4718×2034×1225mm
ホイールベース:2650mm

V8エンジンがF154FC型へ進化

SF90のパワートレインはV8ツインターボ+3モーターで、トータル1000psを発揮。モーターはフロント左右1基ずつ、リアはエンジンとギアボックスの間に1基となる。つまりは実質的な4WDモデルとも言えた。

849テスタロッサでは、まずV8エンジンがF154FC型へと進化。780ps/800Nmから830ps/842Nmへとパワーアップを果たしている。モーター自体はトータル220psと変わらないが、トータルの最高出力は1000psから1050psへと向上した。スペックの比較は文末に入れさせて頂いた。

フェラーリ849テスタロッサ(上)とSF90ストラダーレ(下)。
フェラーリ849テスタロッサ(上)とSF90ストラダーレ(下)。    フェラーリ

今回はクーペモデルとスパイダー、そしてアセットフィオラノと呼ばれるレーシーなパッケージも同時発表。恐らくは今後、XXモデルも登場するだろう。

こうしてフェラーリの量産車ラインナップは、今後こうなっていくと予想される。発表されていないものには『*』をつけた。

V6(リアミドシップ):296GTB/296GTS/296スペチアーレ
V8(リアミドシップ):849テスタロッサ/849テスタロッサ・スパイダー/849テスタロッサXX*
V8(フロントエンジン):アマルフィ/アマルフィ・スパイダー*
V12(フロントエンジン):プロサングエ/12チリンドリ/12チリンドリ・スパイダー/12チリンドリ・ハイスペックモデル*

さらに、UK編集部のレポートによれば10月9日にはフェラーリ初のBEVも発表予定となり、プロサングエとの関係性も気になるところ。しばらくはフェラーリの動向から目が離せないようだ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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