■「買い」か?

クルマによっては、数km走っただけで本質が見えるクルマもあるが、ベントレーはそういうものではない。しかも、スーパースポーツというネーミングが、そのキャラクターを曖昧にしている。

個人的には、スーパースポーツカーというのは純粋なドライビング・プレジャーを追求するために、ほかの要素をすべて排除するものだと思う。そして、ベントレーのスーパースポーツはそうではなかった。

ベントレーの作法はそのままに造られた高性能モデルである。ベントレーの短所はこのクルマの短所であり、ベントレーの長所もまたこのクルマの長所なのだ。

それさえ理解すれば、このクルマが好ましく思えるようになり、それ以上に、登場から14年を経ても魅力的で、マーケットにおける競争力を示すことができるコンチネンタルに敬意を覚える。

しかし、ベントレーが真のスポーツカーを生み出すのではないかという期待は、今回も叶えられなかった。はたして、実現されるのはいつか。この高級車ブランドが100周年を迎える2019年をおいてほかに、それを実行する絶好の機会はないと思うのだが。

■日本版編集部の見立て

2トン・オーバーのコンチネンタルにピュアなスポーツカー性を求めるのはどうだろうか。やはり、そこはベントレーとして譲れないラグジュアリーな装備などがあるわけで、スーパースポーツと言えどもこれは明らかにGTカーなのだ。そして、歴代最強の710psのW12ユニットは、現行コンチネンタルの最後を飾るに相応しいエンジンである。もし、コンチネンタルをスポーツカーにしたければ、1トン近いダイエットをしたGT3にようなクルマになろう。但し、その引き換えに、ベントレーの優雅さはすべて失われることになろうが。

ベントレー・コンチネンタルGTスーパースポーツ

価格	£212,500(2,976万円)
全長×全幅×全高	4818×2226×1391mm
最高速度	336km/h
0-100km/h加速	3.5秒
燃費	6.4km/ℓ
CO2排出量	358g/km
乾燥重量	2280kg
エンジン	W型12気筒5998ccガソリン
最高出力	710ps/5900rpm
最大トルク	103.7kg-m/2050rpm
ギアボックス	8速デュアル・クラッチ