まさに公道の王者、1200ps、最高速度415km/h、ヴェイロン・スーパースポーツ

公開 : 2017.04.10 00:00  更新 : 2017.05.29 19:00

21世紀の幕開けと共に、突然と世に示されたスーパー・モデル、ブガッティ・ヴェイロンは、W16 8ℓクワッド・ターボ・ユニットを心臓に持つ究極のロードカーと言えるでしょう。「このクルマが出るまで、まさかF1の速度記録がロードカーに脅かされるとは誰が考えたでしょう」とテスターのミック・ウォルシュは語ります。

エットーレはどう思うのだろうか

2000年にフェルディナント・ピエヒ率いるフォルクスワーゲンの支配下に入ったフランスの伝説的ブランド、ブガッティ。その後に、ドイツ人たちが打ち出した方向性について、ブガッティの創業者エットーレとその息子ジャンが生きていたならどう感じたであろうか。興味深いが難問である。しかし、ブガッティの旗がモルスアイムにあったシャトー・サン・ジャンに再びはためくのを見たのなら、最も有名な自動車一族が喜んだであろうことは間違いない。エットーレなら、ヴェイロンの素晴らしい技術を間違いなく賞賛したであろう。それに対してジャンの場合、ヴェイロンの記録破りの速度を賞賛した一方で、優雅さが欠けている点について首をかしげたかもしれない。ブガッティのシンボルである馬蹄形のグリルと太字のEBのロゴを存続させたことは、誇り高い創設者の目にも少しやりすぎであったかもしれない。スーパーカーの王者としてのヴェイロンの知名度は、ブガッティの歴史において、T35とT57SCに並ぶ地位を保証している。究極のロード・モデルに関するいかなるレビューも、このW16エンジンを搭載したヴェイロンを欠いては完璧とは言えない。

巨大なリア・ウイングはスピードの上昇と共に角度が変わる。


眠っていた偉大なブランドの取得から、奇跡的とも言えるブガッティブランドのクルマの再生産まで、ヴェイロンの創造に至る一連の経過は、困難であったにしても、実に目を見張るものだった。1990年代後半、ピエヒの決定後すぐに、この一流ブランドを取得するための秘密交渉のターゲットがブガッティに絞り込まれた。イタルデザインがいくつかのコンセプトを提示した後、ジウジアーロによってスタイリングされたスーパースポーツ、シロン18/4がVWのスーパーカーの方向性に手がかりを与えた。同時に、フォルクスワーゲンのデザイン部門の責任者ハルトムート・ヴァルクスが率いるチームが製作したEB18/4も継続開発とされた。

世界最速ゆえに険しかった開発の道のり

カール=ハインツ・ノイマンを新生ブガッティの社長に迎え、クワッドターボ8ℓエンジンを搭載した知られている限り最初のヴェイロンである16.4が2001年にフランクフルトショーで発表されたが、その生産に至る道のりは険しかった。クルマのハンドリングの問題、オーバーヒート、前人未到の速度目標に苦労したし、ノイマンが社長を辞めた後、銀行家兼元ル・マンのドライバー、トーマス・ブシャーがこの難題に挑戦した。ヴォルフガング・シュライバー博士のエンジニアリング・チーフ就任が転機になり、ブシャーが顧客向けに約束した納期である2005年11月という期限を守るため、ヴェイロンは、優秀な90名のエンジニアリング・チームにより、24カ月の間に一新された。

ヴェイロン16.4スーパースポーツがギネス・レコードをマークした際のショット。


自動車雑誌による最初のロード・テストは、リラックスしたまま造作もなく320km/hに達する驚異的なヴェイロンを絶賛した。メディアは、「買物車にも使える1013psのスーパーカー」としてヴェイロンの驚異的な二重性についても絶賛した。

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