空前絶後の音響体験 ブガッティ・ミストラル(2) 魅力の核心にあるW16クワッドターボ

公開 : 2025.08.18 19:10

ミストラルで最後を飾るW16エンジン メカニズムは概ねシロンと同じ 内装はクラシカルなエレガントさ 加速以上に印象的な最高峰の音響体験 一般道でしっかり運転を楽しめる UK編集部が試乗

加速力以上に印象的なW16シンフォニー

ブガッティ・ミストラルは、加速力以上にサウンドが印象的。運転していると、はっきり複数の音を聞き分けられる。アクセルペダルの角度を緻密に調整すれば、聞きたい音を奏でることも難しくない。

軽い加速時は、2基のターボチャージャーが発する、笛のような甲高いノイズが耳に届く。定速で2000rpm前後を保てば、脈打つような特徴的な吸気音が響く。全力での発進加速時には、巨大な風船に穴が空いたような、シュゴーッという唸りが放たれる。

ブガッティ W16ミストラル(欧州仕様)
ブガッティ W16ミストラル(欧州仕様)

3000rpm付近から鋭い加速を求めると、更に2基のターボが加勢。それらのサウンドが複層的に重なった、壮大な音響体験が待っている。W16シンフォニーだ。背後で大量のガソリンが燃えていることも伝わるが、何より気流の存在感が強い。

運転席と助手席の頭上には、それぞれインテークが突き出ている。クワッドターボ・エンジンが大量の空気を吸い始めると、長く続く坂を登った時のように、圧力変化で鼓膜が張るほど。車内の小さなゴミが吸い込まれたとしても、驚かないだろう。

市販オープンカーで世界最速の453.8km/h

オープンのロードスターだから、シロン・スーパースポーツのように時速300マイル(約482km/h)といったスピードは出せない。ファブリック張りの脱着式ルーフは用意されているが、簡易的なもので、160km/h以上での利用は推奨されていない。

ブガッティ・リマックという体制なことを理由に、現在の同ブランドは、フォルクスワーゲン・グループが有するドイツ北部のエーラ・レッシエン・テストコースを利用できないそうだ。ポルシェが、一定の割合で出資しているにも関わらず。

ブガッティ W16ミストラル(欧州仕様)
ブガッティ W16ミストラル(欧州仕様)

それでも、ドイツ北西に位置するパペンブルク・テストコースで、ミストラルは453.8km/hを達成している。市販のオープンカーとして、世界最速を塗り替えた。

燃費は、カタログ値で4.6km/L。仮にフルスロットルでW16エンジンを回し続ければ、約8分でガソリンタンクを空にできる。

一般道でしっかり運転を楽しめる1600ps

今回試乗したフランス東部のモルスアイムでは、ミストラルが納車前に徹底的な公道テストに掛けられている。既に何度も実施されているはずだが、未だに注目度は高い。遊んでいた子どもたちが、自転車を放って駆け寄ってきた。

これまでのブガッティと同様に、運転は想像以上にしやすい。カーボンファイバー製シャシーは、ルーフレスでも剛性の低下を殆ど実感させない。強固な印象を与える、マクラーレン以上といえる。

ブガッティ W16ミストラル(欧州仕様)
ブガッティ W16ミストラル(欧州仕様)

1977kgの車重と、1600psもの最高出力を秘めながら、郊外の一般道でしっかり運転を楽しめることに唸らされる。ステアリングホイールは重すぎず、感触が豊か。正確・漸進的に旋回してみせる。

乗り心地は優しい。ボディはしっとり落ち着き、細かな入力は巧みに吸収される。ダンパーの硬さや、ステアリングの重さは個別に選べないものの、ドライブモード次第で高速走行時の車高などが制御される。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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