ロードテスト(9) スマート・フォーフォー ★★★★★☆☆☆☆☆

公開 : 2017.10.09 19:10  更新 : 2018.01.19 23:20

 

はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

乗り味

スマートの主要モデルは背が高く、立ち気味のキャビンを持ち、ホイールベースは短く、トレッドは狭く、ところどころで洗練度の低さを感じさせる。そのため、過去20年にわたって、走りには妥協を強いられるところが見られた。

この4シーターでは、ホイールベースが長くなり、バッテリーによって重心もやや下がっているものの、やはり運動性の奇妙な癖や欠点は払拭できていない。

ステアリングは尋常でないほどギア比が低く、しかも軽い。ジャンクションや狭いスペースでの取り回しがいいと思うのは短絡的な考えで、実際には立体駐車場の上り下りや駐車スペースの出入りでステアリングホイールを回す量が増えるため、扱いやすくは感じられない。9.1mの旋回直径は確かに駐車場で便利だが、多くのシティカーと比べてめざましく改善されたようには見えない。むしろ、クラス水準にやや及ばないとさえ思えるほどだ。

いっぽう、速度が上がると、リア寄りの重量配分が効果を見せ始める。ジオメトリーを安定志向に振ったシャシーセッティングやバネ下重量、リアアクスルの粗さもまた顔をのぞかせるのだが。駆動用バッテリーにより追加された重量は、これまでに試乗したエンジン仕様車より穏やかな乗り心地に寄与するが、路面からの大きな入力に対しては相変わらず落ち着きがなく不安定な挙動を示し、また小さな入力を受けるとノイジーで滑らかさを欠く。

ハンドリングのレスポンスは平均未満だが、これは大きな荷重のかかる後輪が容量オーバーにならないよう配慮されたグリップバランスに起因するものだろう。横方向のボディコントロールは想像以上に良好で、アンダーステアが出た際の電子制御スタビリティコントロールの介入は、よほどハードにプッシュしたのでもない限り、ほとんど感知できないようなチューニングがされている。スタビリティには何の問題もないが、舗装路での接地性が、ほとんどのシティカーより足りないことは認めざるを得ない。★★★★☆☆☆☆☆☆

 

はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新試乗記

スマートの人気画像