追悼 マツダ山本健一元社長 歴代ロータリー、今のると? 試乗

公開 : 2018.01.07 15:40  更新 : 2018.01.07 16:30

RX-3からの「ロータリー信仰」

マツダ・ルーチェ・クーペ(コスモの後継車)に続くRX-3は、グラン・ファミリア(トヨタカローラのライバルであり、マツダ323ハッチバックにつながるクルマ)をベースとしている。

一部ではサバンナ・クーペとして知られるRX-3は、ファミリアの穏やかな形をちょっと筋肉質にしたクルマだ。実際、この青緑色の2ドアはセビルを小さくしたような感じのマッスルカーだ。

しかし、今日のクルマは中身が標準車とは全然違う。エンジンは後のRX-7の12Aで、ギアボックスも同じくRX-7の5速を使っている。ホイールとタイヤも通常より明らかにロー・プロファイルだ。

マツダのヒストリックカーの整備をしているジョタ・スポーツ(ル・マンとWECのレーシング・チーム)は、それらを取り外し、標準のスペックに戻すという約束だったのだが、そのままのほうが断然面白いと判断したのだ。

その通り。当時のマツダはRX-3でサーキットを席巻した(1968年にニュルブルクリングのマラソン・デ・ラ・ルートにコスモで単独出場したのに続いて。すべてベルギー人のクルーで結果は4位)。富士500で優勝し、ニッサン・スカイラインとの数々の熾烈な戦いを制した。特にオーストラリアで。このRX-3の活躍は、オーストラリアで今日まで続くマツダ・ロータリー信仰を生み出した。

理論上は、このクルマのパワーは最初期のコスモと同じだが、とてもそうとは思えない。非常に研ぎ澄まされており、大口径のエグゾーストから唸り声をあげることもない。少なくともパワーが少し衰え始める(ロータリーとしては不思議なことだ)5000rpmまでは適度にクイックだ。

しかしかまうことはない。その時には興奮で耳も聞こえず、目もまわっているだろうから。サセックス郊外でこの小さなクーペと格闘することはちょっとした挑戦だ。

まっすぐ進む巡洋艦ようにステアリングはデッドだし、慎重なペダルワークを要求するブレーキは、思い通りに止まりたいならお祈りするしかない。では、つまらないかって? とんでもない! エンジンの歌声、エグゾーストから覗く炎、不安定一歩手前のテール・ハッピーな感じがたまらない。さらに、カッコもイケてる。パッとしない60年代とは打って変わった70年代のミニ・ミー・スタイルだ。

しかし、今日の主役はこのクルマではない。主役を獲得したのは初代RX-7である。

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