AWDの安心感、論理的に理由を説明できる? 雪上をアウディで走り、探る 画像163枚

公開 : 2018.02.02 12:10

まずはQ5、そしてQ7 ひとつの気づき

最初のメニューはスタッドレスタイヤを履いたQ5による定常円旋回だった。アウディドライブセレクトの走行モードは「ダイナミック」を選び、しかしESCはオンのまま。

するとアンダーステアとオーバーステアを電子制御が細かく相殺している様子がわかり、スロットルとステアリングはほぼ一定のまま、時速15km/hほどで安定した円を描くことができた。

スタッドレスを履いたQ5は今回試乗したモデルの中で、スキーに出かけるようなシーンが最も似合うモデルといえる。大きな上屋のQ7と比べると、まるでスポーツカーのような身のこなしを見せるQ5。今回の試乗車の中では前輪へのトルク配分が大き目の印象だったが、それがハンドリングに悪影響を与えていないところにクワトロの美点がある。

 

ESCボタンを長押しして全オフの状態にすると、ハンドリングの素性が姿を現す。フロントタイヤがグリップしている一瞬を狙ってスロットルをポンッと一発踏み込んでやると、キレイな慣性ドリフトがはじまる。

最初はカウンターステアを当ててテールの振り出しコントロールしていたのだが、慣れてくると前輪に舵角を付けないゼロドリフトを保つことができ、走行円の直径も小さくしていける。

次にピレリのウインタータイヤを履いたQ7で定常円を試すと、すぐに難易度が高まったことに気がついた。センチ単位で充分だったスロットル操作をミリ単位の繊細さにしなければならず、スロットルを踏み過ぎれば簡単にスピンモードに陥ってしまう。

今回ペアを組んだドライバー氏は初めての氷上体験とのことだったが、そんな彼がスリッパリーなQ7に苦戦しながらボソッと呟いた。

「これはクルマの性能っていうより、タイヤ性能の違いですよね……」

そー、その通り! とわたしも半分は同意した。

けれどトラクションの多寡を正確にドライバーに伝えるのはクルマ側の性能なのである。クルマというより、モノコックシャシーやサスペンションの精度と言った方がいいかもしれない。

タイヤのグリップのみならず、Q5とQ7の質量の違いも容易に把握できるし、クワトロ(AWDシステム)がタイヤのグリップ、ハンドリングにどのような影響を及ぼしているかもある程度わかってくる。

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