スバルWRXファイナル・エディションに試乗 歴史や今後に思い馳せる

公開 : 2018.03.04 10:10  更新 : 2018.03.04 10:25

アナログ的な機械とのつながり

このクルマの真骨頂とは、他のクルマではグリップやトラクションを失ってしまうような厳しいコンディションでこそ発揮され、基本的にその性能はこういった条件で最も速く2地点間を移動するためにある。結局、こういった性能こそがラリーカーのホモロゲーション・モデルに求められるものだったのだ。

だからこそ、英国の中でスコットランドほどこういった種類の速いクルマを求めるひとびとが多くいる場所はない。スコットランドでは天気が簡単に悪化するために、こうしたクルマへの需要が常にあり、さらにドライバーの運転スキルも非常に高い。ここのひとびとはエンジンが多少うるさくても、それを気にしたり、文句をいったりするようなことはしないのだ。

WRXのエンジンはいつものように回転数を上げていく。いまでは2.5ℓまで排気量を拡大したこのエンジンは、最近のスーパーハッチのようなサウンドのチューニングやオーバーレブの自動警告などはしてくれない。

このエンジンはドライバーの求めに応じて必要なだけ空気を吸い込み、大げさなほど急激なパワーの盛り上がりを伴って7000rpmのレッドゾーンまで回転を上げていく。かつてに比べればフラット4が奏でるサウンドも整ったとは言え、依然として独特で非常に魅力的だ。

確かに古典的ではある。しかしこのエンジンは、排ガス規制(WRXのCO2排出量は252g/kmだ)を満足させるよりも、真剣なドライバーの求めに応じて長年にわたり磨き上げてられてきたギア比にマッチすることを優先しており、そこには本物の技巧とエネルギー、そしてどんなレベルのドライバーにとってもWRXを運転することの喜びが存在する。

硬いが安定して抑制のきいたその乗り心地と相まって、多くが経験したことのある、このやみつきになるような、アナログ的とも言える機械とのつながりこそ、スポーツカーを運転することの根源的な楽しみだろう。もちろん、これは非常に身体的な感覚だが、ではこれ以外にやるべきことなどあるだろうか?

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