ポルシェ911 GT3 RS マン島TTコースの地で味わう比類なきコース、比類なきクルマ

公開 : 2018.06.03 17:10

グレートブリテン島の西に浮かぶマン島。恒例のマン島TTレースで、勇者たちが二輪での今年最速の座を争う前に、四輪最速の1台、ポルシェ911 GT3 RSをAUTOCARが持ち込みました。公道を封鎖した挑戦的な60kmのコースでの体験を、アンドリュー・フランケルが振り返ります。

もくじ

全長60kmの最もチャレンジングなTTコース
マン島の道を満喫できる機会
ポルシェ911GT3 RSで走るための心構え
リスクと隣り合わせの自由
並外れたコースとクルマ
マン島を訪れるベストシーズン
番外編:10年前の英国ベストドライバーズカー選手権

全長60kmの最もチャレンジングなTTコース

わたしは今までバイクに乗ったことがない。それにバイクが原因で、家族や友人と永遠の別れを迎えることになったひとを、大勢知っている。わたしの父は腕利きのライダーで、そのスキルで何度か大きな怪我から間逃れてきた。いままでに3度ほど、ギリギリのところで事前にバイクから転び落ちることで、自らの命を救っているそうだ。わたしには、そんな真似はできそうにない。

一方で、日常的にバイクのレースを見ることは好きだったりする。特にマン島でのTT(Tourist Trophy:ツーリスト・トロフィー)レースは別格で、ユーチューブの動画でさえ、TTコースでの走行シーンはF1ですら霞ませてしまうほど迫力がある。

マン島の首都ダグラスから島の中心を抜けてピール方面へ向かい、カーク・マイケルからラムジーまでのルートに加えて、その後の山岳ルートなど、現在でもモータースポーツで最もチャレンジングなコースだと思う。

2年前、個人的に観戦しに行ったことがある。最初に見たバイクは、ジョン・マックギネスが270km/hくらいのスピードで、右コーナーを抜けていくところだった。何より衝撃的だったのは、彼がギリギリのバランスでせめぎ合っていたのが、オーバーステアとアンダーステアの間というものではなく、生と死、そのものだったから。コースの別の場所では、わたしのまさに眼の前で、ライダーたちが290km/hで駆け抜けていった。

その光景と音響はあまりにも強烈だった。

その日のレースでは、カーク・マイケルの手前、クロンク・ア・ボディで、ふたりのライダーが亡くなっている。

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