比較テスト 新型ポルシェ・カイエン・ターボ vs レンジローバー・スポーツSVR

公開 : 2018.08.26 12:10

スポーツSVR スペックは同等

そして、そんな1台がジャガーランドローバーのスペシャル・ビークル・オペレーションズ(SVO)が創り出したレンジローバー・スポーツSVRとなる。2014年にこのクルマが登場したとき、スポーツSVRが積んでいたのは550psを発揮するスーパーチャージャー付5.0ℓV8エンジンだったが、どうやらこれでは十分ではなかったようだ。今回のフェイスリフトにおけるメカニカル部分の変更箇所はそれほど多くはないが、なかでも特筆すべきは575psへと引き上げられたパワーと、1.9kg-m強化され71.3kg-mに達するそのトルクだろう。しかし、スーパーチャージャーの特性上、最大トルクが発生する回転数は3500rpmからとなる。

その他のメカニカル構成はポルシェとほとんど変わらない。8速オートマティックギアボックスを介して四輪全てを駆動し、ほとんどの場面でフロントとリアへのトルク配分は50:50となるが、センターデフに組込まれたクラッチにより、前後輪のいずれかへ100%のトルクを送ることも可能だ。カイエンとは違い、リアにはロッキングディフェレンシャルが標準で装備され、エアサスペンションとアクティブアンチロールバーも標準となるが、アンチロールバーの制御は48Vシステムではなく油圧式だ。

牽引重量はカイエンの3500kgに対して3000kgだが、スポーツSVRにはより低いレシオが与えられており、実際にテストをおこなったわけではないが、マッドな状況ではより優れた能力を見せるだろう。


10万1145ポンド(1471万円)のスタートプライスを掲げるSVRは、9万9291ポンド(1444万円)のポルシェを若干上回るが、同じようなスペックで比較した場合、その結果は逆転する。実際のところ、両者とも甲乙つけがたい。これほどのモデル同士でも価格面での争いは非常に厳しいのだ。

これでも足りなければ、見るべきはボンネットだろう。レンジローバー・スポーツは長きに渡って、(表現が難しいが)世界でも風変わりな美意識をもつ企業にとってのキャンバスであり続けており、今回はレンジローバー自身がそれをやってみることにしたのだ。オプション装着前で2310kgに達するこのクルマの軽量化に、カーボンファイバー製ボンネットが果たした役割に疑いはなく、6225ポンド(90万5000円)のオプションで無塗装のままにすることも可能だ。

自分がこのオプションを選ぶかどうか分からないが、実のところ、この2台にどれほど多くのことを望むかどうかもよく分かっていないのだ。

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