アルピーヌA110 vs マクラーレン570S 比較試乗 なぜ公道で光り輝く?

公開 : 2018.12.01 10:10  更新 : 2021.05.13 12:00

狙いは公道での満足度

車重1100kgほどのアルピーヌは、現代では非常に軽量なモデルであり、この軽量さと前後ダブルウィッシュボーン式サスペンションとの組み合わせが、B級路で光り輝く秘密となっている。デコボコとした酷い路面状況にA110と同じくらい上手く対処したクルマはあったかも知れないが、このアルピーヌ以上に見事な走りを見せたクルマには出会ったことがない。

コーナー入り口でのA110は、ボディロールとターンインの見事なハーモニーを感じさせ、まさにこうしたワインディングこそがこのクルマにもっとも相応しい場所であることを証明している。

おそらく、このクルマのドライビングを素晴らしいものにしているもののひとつは、その適度なグリップのタイヤだろう。A110が履くミシュラン・パロットスポーツ4sは、ほどほどのサイズと、ほどほどのグリップを持つ、まさにオールラウンドな性格をもつパフォーマンスタイヤだと言える。

つまり、このタイヤはドライバーがシャシーに負荷を掛けつつそれなりのスピードで公道を走行するのに適した選択であり、一旦その限界を越えそうになってもいきなりグリップが失われるようなことはなく、そのまま生垣にドライバーを突っ込ませるようなまねはさせないということだ。その替わり、徐々にそのグリップ状態を変化させつつ、その状況を伝えることで、ドライバーは臆することなくA110のすべてを味わい尽くすことができる。

こうしたハンドリングが実現できたのは、A110が当初から公道での満足度とドライバーとの繋がりを念頭に開発と設計が行われたからだ。このクルマは決して単なる速さとコースでのラップタイムを最優先に開発されたモデルなどではなく、荒地に拡がるB級路でこそ、その真価を発揮することができる。

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