新型3代目『マツダCX-5』に異変あり 新しい動的質感の方向性は「らしくない」? 多くを背負って選んだ答えとは【渡辺敏史が検証】

公開 : 2026.05.21 14:30

5月21日、3代目となる新型『マツダCX-5』が日本でも発売開始されました。それに先立ち取材した試乗会で、編集部は『異変あり』と感じています。マツダ車の世界1/4もの販売を背負うCX-5、その新型が選んだ答えとは? 渡辺敏史がレポートします。

マツダ車の4台に1台はCX-5という状況

2000年代の半ばからマツダが取り組み始めた、クルマづくりの革新。それはラインナップの全てを『一括企画』することや、そのために全モデルに設計思想の横櫛を通し開発時の約束事を統一する『コモンアーキテクチャー』の採用、そうすることでシミュレーションのような机上論が十全に機能する『モデルベース開発』と、この3つのメソッドを柱としていた。

それを世に打って出たのが『スカイアクティブテクノロジー』であり、『魂動デザイン』と共に市販車へ初めて反映されたのが2012年にデビューした初代『マツダCX-5』だ。

5月21日に日本でも発売開始された3代目となる新型『マツダCX-5』。
5月21日に日本でも発売開始された3代目となる新型『マツダCX-5』。    平井大介

その後、2017年には2代目へとバトンタッチ。マツダの看板車種として市場で存在感を示してきた。グローバル累計は500万台以上、国内累計は40万台以上販売と、直近でも日本のみならず、他のリージョンでも販売構成の1/4、つまりマツダ車の4台に1台はCX-5という状況が続いている。

日本国内ではCX-60CX-80が販売されているFR系、いわゆる『ラージプラットフォーム』へのバトンタッチやブランドの上位シフトが停滞していることは明らかである以上、そんなCX-5に退かれてもらっては方々が困るわけで、3代目はそういう事情も背負いながら開発された。

ゆえに一番に大事になるのは、前述のマツダにとって膨大な既納客が、お世辞抜きに完成度の高い2代目を前にしても尚どんな不満を抱いているか、その徹底的なネガ潰しにあったといっても過言ではない。

Cセグメント級SUVのど真ん中

その数値的な成果は車格にみられる。全長は前型比で実に115mm長くなり4690mmと、現行のトヨタRAV4ホンダCR-Vの間に割って入る。これによって、世界的視点でみても日本車の牙城ともいえるCセグメント級SUVのど真ん中に収まった。

一方でホイールベースも115mm伸びて2815mmと、ライバルに比べれば俄然長い。つまり伸長分はそのまま後席居住性や荷室容量の拡大に結びついている。実際、後席に座ると個人的にはクラスベストだと思っていたCR-Vも凌駕するほどの広々とした空間が広がっていた。

全長は前型比+115mmの4690mm、ホイールベースも+115mmの2815mmとなった。
全長は前型比+115mmの4690mm、ホイールベースも+115mmの2815mmとなった。    平井大介

荷室も長さや高さ、開口部形状などが改善されており、積める量だけでなく積みやすさも改善されている。折り畳んだベビーカーが縦積みでも収まるようになったというマツダ側の説明からは、ユーザークリニックによる徹底した不満の洗い出しがうかがえた。

恐らくライバルと互角以上の車室空間を得ることになっただろう新しいCX-5だが、失ったものもある。それは初代からの売れ筋でもあった2.2L直列4気筒ディーゼルユニットだ。

最終的には200ps/450Nmのハイアウトプットを実現、先代でも長きに渡って好調を維持した販売を支える原動力となっていた。新型はガソリンのみになるという噂が早くから巡ったこともあり、それが先代の駆け込み需要に繋がったという話も嘘ではないはずだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    渡辺敏史

    Toshifumi Watanabe

    1967年生まれ。企画室ネコにて二輪・四輪誌の編集に携わった後、自動車ライターとしてフリーに。車歴の90%以上は中古車で、今までに購入した新車はJA11型スズキ・ジムニー(フルメタルドア)、NHW10型トヨタ・プリウス(人生唯一のミズテン買い)、FD3S型マツダRX-7の3台。現在はそのRX−7と中古の996型ポルシェ911を愛用中。
  • 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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