SLS AMGとライバルたち AMGはスーパーカーを作ったのか 回顧録

公開 : 2019.01.02 07:10

慣れれば扱いやすい

SLSにはTVRと同等の鋭利で痛烈な動力性能が備わっている。2速から3速を経て4速までフル加速を続けていくと、思わずバックミラーに目をやって、リアタイヤが舗装を剥がしていないかどうか確認したくなる人も半数近くはいるであろう。

数kmほど走って身体が慣れてくると、ステアリングもそれほど極端な切れ味とは感じられなくなってくる。ある程度以上のスピードになれば、乗り心地もスムーズだ。

こうなってきてようやくSLSは、フロントエンドの切れ味が鋭く、リアタイヤからはたっぷりとしたフィールが伝わり、右足首をほんの少し動かすだけで571psの出力が得られるのにトラクションは最高のひと言に尽きる、真の意味で実力を備えたクルマであるという実感が湧いてきた。

とにかく一度、SLSに襟首をつかまれて振り回されてみるといい。そうすれば自然に、ほれぼれするほど流麗で粘り強い走りこそがこのクルマの真の能力であると理解できるはずだ。

SLSについて、なかには「乗り心地が硬すぎるし走りは神経質すぎるし、本来楽しむべき公道上でのスムーズネスに欠ける」と、頑として納得しない人もいるかもしれない。そういう偏屈には、いったいSLSを理解しようというつもりがあるのか、このクルマが披露する走りを正当に評価する気はないのかと問いただしたい。

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