ロードテスト シトロエンC3エアクロス ★★★★★★★☆☆☆

公開 : 2019.04.06 11:50  更新 : 2021.03.05 21:42

 

はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 走り ▶ 使い勝手 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

乗り味 ★★★★★★☆☆☆☆

C3エアクロスにおけるシトロエンのマーケティング的な説明は、想像通り快適性や実用性を売り込む記述で溢れている。楽しさについては残念ながら言及されていないが、それも理不尽な話ではない。アロナはバランスと精確さのすばらしいシャシーを備えているが、このクラスに休日の朝が待ち遠しくなるような走りが期待できるものはなく、また、それを重視して購入するオーナーもいはしないからだ。

このセグメントのクルマは、そこそこ滑らかで洗練された乗り心地を備えていて当然と見なされるが、この楽しげなフランス製クロスオーバーには全般的にそれが欠けている。それを強調するのが、どんな路面であっても発生し、シャシーを通じてキャビンへ侵入してくるパタパタいうロードノイズだ。

おそらく、このクラスのクルマなら大なり小なり同じようなことが起こると思うに違いない。ところが、路面不整がより大きく尖ったものになると、車内で感じるこの不快な振動は、ライバル車の多くより激しくなる。このスプリングがソフトなクルマのプライマリーライドが速度を上げても比較的落ち着いており、ロール剛性を高めたがゆえに車高の低いC3よりもコントロールが利いていることを考えれば、実に惜しい。シトロエンがもっと細かいところまで気を配っていれば、乗り心地でもハンドリングでも、ライバルたちに挑みうるものとなっていたはずだ。

どのように運転しても、このクルマは安定していて緩慢だ。とくにアロナやコナと比較すると、C3エアクロスのステアリングは軽く無感覚で、入力とぽっちゃりしたノーズがそれに反応する間には、長いリレーが介在しているような印象を覚える。

このクルマを買おうというユーザーのほとんどは気にしないのかもしれない。しかし、クルマからのフィードバックを求めたり、機械的な整合性を手元に感じたいドライバーだったなら、C3エアクロスは心が動かないクルマだろう。

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