比較試乗 半世紀前のイタリア製スパイダー アルファ vs フィアット 乗って帰るなら?

公開 : 2019.06.17 17:10

あらゆる要素を見直し

最初に登場した派生モデルのデュエットは、今日最も人気が高い車種である。しかし1970年には、クラシックスパイダーのベストセラーであり最長のロングセラーモデル、シリーズ2に置き換えられる。

正面から見た姿は概ね似ているが、一番の違いはカム式のテール、ワイドなバンパー、そして大型のライトだ。スパイダーの女性らしい繊細さが一部失われたかもしれないが、先進的な1970年代にあって比較的モダンで、ラゲッジスペースも拡大している。筆者にとって、これこそがアルファ・スパイダーの決定版だ。

インテリアではデュエットでは金属だった部分がプラスティックに置き換えられてしまった。しかし車内を眺めると、デザイナーがあらゆる要素を徹底的に見直したことに気づく。ドライバーの方を向いた補助ゲージ、大きなフード付きの速度計とタコメーター、それに窪んだホイールまで、バロック様式に近いムードだ。ペダルのゴムの珍しい円形パターンでさえ美しいオブジェに見えてくる。

124スパイダーは、こうした美しさにもかかわらず、申し訳ないほど控えめに扱われてきた。決して優美さや魅力に欠けていたわけではない。ピニンファリーナによってデザイン、製作されたスタイリングは、建築家から自動車デザイナーに転じた米国人トム・トジャアーの作品であった。

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