MGの救世主になり損ねたスポーツカー EX234開発計画 もし実現していたなら

公開 : 2019.06.22 09:50

40年ぶりに市場へ

これまで彼が40年間所有していたEX234が、ついに売却されることになった。グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードの会場において、推定3万5000〜4万5000ポンド(455〜585万円)でボナムスのオークションに掛けられることになっている。このMGの歴史の忘れられた1ページは、この価格ならお買い得だろう。

走行距離はわずか1万km弱で、レストアされたのではない、美しいオリジナルコンディションを保っている。またこのクルマは、「もし、なら」というもうひとつの歴史に対する楽しい洞察を与えてくれるだろう。

これまで数枚の白黒写真でしかその姿を拝んだことがなかったため、わたしも好奇心に駆られて初めて本物に近づいていった。金属のボディを初めて眺めると、この興味深いクルマは写真で見るよりもずっと魅惑的に見えた。イタリア的なテイストが顕著で、フィアット850やアルファ・ロメオ・スパイダーを思わせる部分がある。

フロントガラスはアルファ・ロメオに似ているし、給油口のフラップもアルファ・ロメオそのものだ。デリケートな円形のテールライトを装備したリアは、初期のロータスエランを思わせる。フロントのデザインは明らかにMG-Bに多くを負っている。

浅いグリルとMG-BのウインカーはEX234のほかの部分のデザインに合っていないのだが、そこがこのクルマのデザイン面の最大の弱点だとわたしは思った。MGのデザイナーはこの部分を何度かデザインし直したといわれているが、どんな工夫をしたのかは興味深い。

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